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「ニッポンは~トッテモシアワセな国デスね~。アノ、NHKもず~っとヤッテイマシタネ~。ニッポンイイ国~、シアワセな国~~」

 なぁんて声が聞こえてきそうなくらい、先週のニッポンの報道番組は異常だった。

 NHKが大相撲千秋楽の生中継中に、「人気アイドルグループの嵐 来年末で活動休止と発表」とテロップでニュース速報を流したことにまず驚き、その後も夜から夜まで(27日夜~28日夜)、丸一日NHKを筆頭に、テレビ東京を除くほぼすべてのチャンネルが、嵐、嵐、嵐。嵐、嵐、嵐。

 まぁ、“国民的アイドル”だし、“大人の事情”(あくまでも個人的妄想です)なのかもしれないけど、NHKまでもが、いや、NHKだからこそ? ふむ、どちらでもいいけど、各局の看板報道番組すべて(しつこいですが、テレビ東京を除いて)がトップニュース。ニッポンって、ほんとに幸せな国なのだな、きっと。

 個人的には嵐は好き。とっても好き。誰が? というわけではなく、嵐というグループが好き。嵐のCDを買いまくったり、出ている番組を見まくったりしていた時期もあったほどである。

 それでも、やはり「34歳2カ月で初めて優勝し、千秋楽の朝、長男が生まれていた玉鷲がトップでもいいじゃん!」と強く思ったし、「今日テレビのリモコンが壊れたと思ったが、各チャンネルで嵐の会見をやってるだけだった」(by デーブ・スペクター)というツイッターに強く共感した。

 が、その一方で、嵐のメンバーが30代後半という年齢であることや、リーダーの大野くんが口にした「自由になりたい」「他の世界も見てみたい」という言葉は、まるで発達心理学やキャリア心理学の教科書を読んでいるようで、実に興味深くもあり。

嵐の活動休止会見の際、リーダーの大野智さんが「自由な生活がしてみたい」と話したことから、ツイッターでは「#大野くんの夏休み」とタグ付けされた労いの言葉が相次いで投稿されている(写真=shutterstock)

 ひょっとすると、メディアが過剰なまでに食いついたのは、彼らの気持ち、というか「39歳の大野くんの気持ち」と「自分」を重ねた人たちが多かったからでは? などと思ったりもする。

 40歳前後で人生後半に向けて新たな一歩を踏み出した経験のある人は、「気持ちわかる~!」と共感し、「俺もさ~あの時は~」などと自慢げに話したことだろう。

 一方、「このままでいいのか」とモヤモヤしながらも時間だけが過ぎている人は、「自由になりたい」という明確な意思を表明し、一歩踏み出した“彼”があまりにもまばゆく、尊くもあり。なにがしかの焦燥感にかられたのではなかろうか。