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行政改革が招いた公務員の高い給与水準

 ただし、ただしである。ここまで散々公務員の少なさを書いてきたわけだが、一方で、日本の公務員の給与水準は高いとの指摘がある。

 実はここにもからくりがある。日本の公務員の給与は人事院が決めるわけだが、人事院勧告は、第二次世界大戦後に活発化した労働争議を受け、公務員のスト権などの制限に対する代償制度として始まったことはご存知のとおりだ。

 池田内閣の下で所得倍増計画が策定された1960年、人事院が示した勧告は12.4%という大幅増だった。その後、政府は人員抑制に舵を切る。68年には、国家公務員の総定員の上限を定めた「総定員法」を施行するに至った。

 前田先生によると、行政改革が行われると、業務の効率化のために人員が削減され、民間委託によるコストの削減が図られる。この時、削減の対象となるのは、比較的置換しやすい業務だ。こうした業務を担当する低賃金部門が外部化されれば、結果的に給与水準の高い職員だけ残ることになる。

 すると「公務員は高給だ!」というイメージにつながり、さらなる「行政改革=人員の削減」が進められることになる。いわば、悪循環を招く「行政改革のフィードバック効果」。対策を進めることにより、イメージがより“悪化”するパラドックスに陥っているのである。

 奇しくも昨年の11月28日、2018年度の国家公務員の給与とボーナス(期末、勤勉手当)を民間企業と同程度に引き上げることを盛り込んだ改正給与法が成立し、SNSではちょっとした炎上騒ぎとなった。

 月給は平均655円(0.16%)増、ボーナスが0.05カ月増の年間4.45カ月分にそれぞれ引き上げられ、平均年収は3万1000円増の678万3000円。月給、ボーナスともに引き上げは5年連続となる。

 このニュースが報じられたとき多くのメディアが併せて触れたのが、「国の借金」である。18年3月末時点で1087兆8130億円となり、過去最高を更新。国民1人当たりに換算すると、約859万円。そんな状況下で、「国家公務員の給料が上がることに納得できない人が多い」とも報じられた。

 前々回の記事(日本の大病「報われてない感」への特効薬)でも書いたとおり、民間での賃金は上がっていない。「なんで公務員だけ?」という不満が出て当然である。