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 日経ビジネスオンラインが「日経ビジネス電子版」に生まれ変わるのに伴い、コラム名を「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」にちょっとだけ改め、再スタートを切らせていただくことになりました。職場から家庭、社会まで、生きづらい今の時代における人と人の関わりのありようについて綴っていきたいと思っています。今後とも、これまで同様、ご愛読のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 で、栄えある(?)第1回となる今回は、「お金と幸せ」についてあれこれ考えてみようと思う。

(写真=PIXTA)

 1月7日に行われた経済3団体の祝賀会で、安倍首相は、「(消費増税で)引き上げた分は全部お返しし、さらにお釣りが来るという、こういう対策を打ちながら、デフレ脱却を確かなものにしていきたい」とコメント。さらに「去年まで、5年連続で最高水準の賃上げが続いた。今年も(引き続き高い水準の賃上げに)期待している」と経営者たちに訴えた。

 一方の経済3団体のトップは、「今年の景気は堅調に推移していく」との見通しを述べたと報じられている。

 賃上げが続き、好景気か……。「増税でお釣りが来る」という意味不明のコメントも、「景気は堅調に推移していく」という見通しも、ちっとも腑に落ちない。

 ふむ、なるほど、この楽観さが“現場”の悲鳴につながっているのだな、きっと。

 そもそも首相や経済界トップの人たちの言葉の根拠はどこにあるのだろうか。

 経済のことは門外漢なので偉そうなことは言えないけど、素人目にみても世界経済は不安定さを増しているように思う。米国市場を襲ったクリスマス大暴落、中国経済の減速……。地震や洪水などの大規模な自然災害も世界的に頻発している。さらに、ちょっと先まで目を向ければ、五輪不況だって懸念されているし、何よりも2020年以降は社会の超高齢化が一層加速する。

 賃上げは「5年連続で最高水準」らしいが、あまり素直にうなずく気にはなれない。「数字」は分析次第で見え方が大きく変わる。数字は嘘をつかないけど、使い方次第で真実を隠す道具にもなってしまうのだ。