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 少々古い話題を蒸し返すことにする。

 本来は、先週の当欄で扱うつもりでいた話なのだが、松が明けて間もないタイミングで、重箱の隅をつつくみたいな原稿を書くことに気後れを感じて、執筆を断念していたものだ。

 ところが、重箱の隅で順当にひからびるはずだった話題が、どうやら、成長しつつある。
 なので、あらためて引っ張り出してみる。

 発端は、この1月の19日、大阪の毎日放送(MBS)が、元日に放送したバラエティー番組「東野&吉田のほっとけない人」について、社内調査チームを設置したことだった。

「ん?」
 と、 第一報に触れて、私は意外の感に打たれた。

 記事によれば、MBSが社内調査チームを発足させた理由は
《日本維新の会代表の松井一郎大阪市長、副代表の吉村洋文大阪府知事、創設者の橋下徹さんがそろって出演し、政治的な課題も語り合う内容で、番組審議会で「不偏不党、政治的中立の点で問題はないか」と指摘を受けたため》
 なのだという。

 なお、同社によると、当該の番組は《約1年前から不定期で計8回放送しており、橋下さんはレギュラーゲストとして6回出演。松井市長と吉村知事も過去に出演したことがある》のだそうで、視聴者からは、約20件の意見が寄せられているという。

 私がこのニュースを意外な気持ちで受け止めたのは、私自身が、大阪のメディアに偏見を抱いていたからでもある。

 私は、MBSが、自ら社内調査チームを設置するタイプの企業だとは思っていなかった。より詳しく述べるなら、私は、MBSに限らず、在阪マスコミ企業は、どれもこれも維新に媚びるばかりで、メディアとしての自己チェック機能を、とっくの昔に放擲しているものだと思い極めていた次第なのである。

 そのMBSに、視聴者から「約20件の意見が寄せられていた」ことにも驚いたし、会見の中でMBSがその事実を公表した点にも意表を突かれた。

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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。