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 いつの頃からなのか、日々のニュースのほとんどすべては、PC(パソコン)やスマートフォン(スマホ)の画面経由でもたらされる。それが、当たり前になっている。別の言い方をするなら、ネタ元がインターネット一辺倒に偏っているわけだ。
 こんなことではいけない。
 たまには、紙の新聞をチェックしないといけない。
 テレビのニュース番組にも目を光らせておくべきだと思っている。
 色々なメディアがニュースを伝える時のニュアンスや重み付けも、継続的にウォッチしておかなければならないのだろう。

 でも、私にそんな時間があるのかというと、まるでありゃしない。
 時間だけではない。カネも情熱も余力も、すべてが枯渇している。

 そういうところへ持ってきて、毎日新聞は
憲法改正 「賛成」48%、「反対」31% 毎日新聞世論調査
 という見出しをドカンとぶち上げていたりする。これは今年5月の記事で、情報としては少し古いものなのだが、この文言が目に入った途端に
「おいおい」
 と思って、私は思わず見出しをクリックしていた。

 何度か書いたことだが、ネット上のニュースページに掲載される記事の見出しは、
「えっ?」
 と思わせるべく書かれている。
 なんというのか、20世紀のスタンダードであった紙の新聞の見出しが「記事内容の要約」であったのとは対照的に、21世紀のWebニュースの見出しは「その文字列を見た読者がクリックしたくなるように」作られているのだ。

 極端な言い方をすれば、昨今は、「記事内容の正確な要約」を掲げるよりは、むしろ「記事の内容を誤解させることで、クリックを誘発する」誘蛾灯みたいな見出しが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しているわけだ。

 単なる増加ではない。

 比率の問題でもない。

 われわれの21世紀は、どうやら、あらゆるメディアが「釣り見出し」で営業をかけまくる、どうにも恥知らずな時代になり果てているのである。
 じっさい、記事内容を要約するタイプの見出しは滅びつつある。
 おそらく、そういう20世紀標準の良心的なヘッドラインは
「古い」
「芸がない」
「面白くない」
「で? っていう感じ」
「地味だよね」
 てなことで見捨てられている。

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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。