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 自民党の総裁選挙に名乗りを上げている候補者の一人が、居並ぶ官僚を前に、断定的な口調で語る動画が流れてきた。
 言葉の調子の強さにも驚かされるが、座り方がよろしくない。大臣は、左腕を椅子の背もたれの後ろ側に回して、右手を振り回しながら、
「○○に決まっているじゃないか!」
 と、決めつけるものの言い方で、官僚たちを叱責している。

 当該の動画は、既にテレビで放映されたシーンの一部分らしい。
 既に一般に流布しているコンテンツでもあることなので、私としては、ツイッターのタイムラインに流れてきたその動画ツイートを、そのままRT(リツイート)して拡散した。
 あわせて、大臣が怒鳴り散らしている場面のスケッチを描いて投稿した。

 1時間ほどのうちに、何百件かのリプライと引用ツイートが寄せられた。
 反響の半分以上は、
「ひどい」
「態度悪すぎ」
「こんなふうに威張り散らす人間が人の上に立つのはいやだなあ」
「ナニサマのつもりなんだ?」
 といった調子の、ネガティブな感想だった。
 大臣の態度を閣僚として不適切と断じた人々がそれだけいたわけだ。

 もっとも、正反対の意見も少なくなかった。
「大臣の主張そのものはまっとうだ。口調が強いってだけだろ? 官僚に明確な指示を出すことのどこがいけないんだ?」
「役人なんてヤツラは、これくらいの言い方で強く指導しないと、ちゃんと動かないぞ」
「そもそも動画自体が一部分のキリトリじゃないか」
「ネガティブキャンペーンに乗っかってる有識者おつかれ」
「大臣が決然とものを言うこと自体は評価するべきだろ?」
 といった感じで大臣を擁護し、その態度を称賛する声も一定数寄せられていた。
 怒鳴りつける相手が官僚だったりすると、そのことだけで大臣を評価してしまう人々が少なからず存在するわけだ。勉強になった。

 大臣と官僚のやりとりをとらえた当該の動画についての最終的な評価は、ここでは、とりあえず保留しておく。
 色々な反響があった、ということで十分だろう。

 今回は、「怒鳴る」こと一般について考えてみたい。
 人はなぜ、怒鳴るのだろう。
 怒鳴るリーダーが主導する組織と、穏やかな声で語るリーダーが上に立っている組織を比べた場合、具体的に、どんなポイントが違ってくるものなのだろうか。

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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。