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「LGBT法案」(LGBTなど性的少数者に対する理解増進法案)の今国会での成立は、どうやら困難であるらしい

 法案の中身に触れる前に、いくつか、前提部分の話をしておきたい。
 まず、「理解増進」という言葉の据わりの悪さについてだ。
 もともと、この法案は、LGBTなどの性的少数者への差別を法律に基づいて禁止する目的で上程されたものだ。
 ところが、その最初の前提部分である
「差別禁止」
 ないしは
「差別撤廃」
 に反発する人々が現れた。

 というよりも、この法案は、そもそもの発端からして
「差別禁止」
 や
「差別撤廃」
 という法律の効果に不快感を覚える人々によって議論され、審議され、検討されている。

 思い出すのは、かつて使われていた
「男女平等」
 という用語に反発した保守派の政治家や官僚が、いつしか、それを
「男女共同参画」
 に置き換えてしまったことだ。
 ちなみに、内閣府が所管する「男女共同参画局」は、「男女共同参画」の英語表記を
"gender equality"
 としており、あわせて
「『正しい男女共同参画の概念』を広めるため、誤解や混乱を招く『ジェンダーフリー』の用語を使用することがないよう、各都道府県・政令指定都市などの地方公共団体に周知徹底を呼びかけ」
 ている。

 第二次安倍政権発足以降、政府はこの
「男女共同参画」
 という言葉を使うことを、微妙に避けている。
 で、代わりに
「女性活躍」
 という言葉を推している。
「性的不平等やジェンダー差別を指摘・糾弾するニュアンスの言葉よりは、女性の活躍を応援する意図を強く感じさせる言葉を使った方が、いろいろとポジティブで良いではありませんか」
 というのが、自民党の中枢に座を占める人々(まあ、具体的に言えば安倍晋三さんですが)の感覚なのであろう。

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