いくつかの国で新型コロナウイルスのワクチン接種がはじまっている。
 たとえば、イスラエルでは、すでに100万人以上がワクチンの接種を終えている。ちなみに、イスラエルの100人あたりの接種率は11.55%になる。この接種率は現状(2021年1月3日時点)では世界一の数字だという。

 ほかにも、アメリカで医療従事者向けの接種が開始されたことや、トルコのエルドアン大統領がワクチンの注射を受ける姿を公開したことなど、世界各地からワクチン関連の報道が続々と伝わってくる。
 これらのニュースは、COVID-19に対して、各国が「情報戦」をはじめたことを伝えるものだと考えて良い。
 感染爆発から脱却して国民経済を再建することは、世界中の政治家にとって、政治生命を賭した命がけの「戦争」にほかならない。してみると、有効なワクチンを優先的に確保して、それらをなるべく早いタイミングで、可能な限りたくさんの国民に接種せしめることは、彼ら(政治家たち)の生命線そのものだということになる。

 菅義偉首相が新型コロナウイルスのワクチン接種を円滑に進めるための担当閣僚を新たに設置し、大臣として河野太郎規制改革相を充てたのは、その「情報戦」の一環と見て良いのだろう。

 リンク先の記事によれば、菅首相が河野氏に白羽の矢を立てた理由は、彼の「発信力」と「突破力」に期待しているからだということらしい。
 意外な見方だ。
 私個人は、むしろ、河野大臣の「発信力」と「突破力」に懸念を抱いている。
 発信力と突破力の欠如や不足を心配しているのではない。
 ありていに申し上げれば、私は、河野氏が、無駄な発信力と有害な突破力を発揮することで、現場をいたずらに混乱させるのではなかろうかと、そこのところに不安を感じているということだ。

 河野氏がワクチン担当相に起用されることが伝えられた1月18日の夜、私は、こんなツイートを発信した。
 《河野太郎氏がいまだにオレをブロックしていないのは、「君はまだブロックに値する存在ではない」「てか、お前なんか眼中にないぞ」というメッセージとして受け止めている……と書こうとして、一応確認のためにアカウントを見に行ったらブロックされていたでござる。正直、ちょっとうれしい。午後10:01 - 2021年1月18日》

 去年のいつ頃だったか、ツイッターのタイムライン上で、河野氏がブロックを連発しているらしいということが話題になった折、「もしや」と思って確認してみたのだが、その時点では、私のアカウントはまだブロックされていなかった。なので、自分は無事なのだろうと思って上記の文言を書いた次第なのだが、「送信」ボタンのアイコンをクリックする前に、念の為に確認してみたところ、あらまあびっくり、いつの間にやらブロックされていたわけだ。

 ブロックされたことを恨んで河野大臣を非難しにかかっているのではない。
 むしろ、私は氏の仕事を気遣っている。
 だからこそ、ブロックの連発を憂慮しているのだ。

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