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 無論、このYahoo!ニュースのコメント欄が、現時点でのわが国におけるニュートラルな世論を代表しているのかというと、そんなことはない。それどころか、「ヤフコメ」(Yahoo!ニュースのコメント欄の略称)は、「ネトウヨの巣窟」「排外主義的なネット保守論客の牙城」と見なされることの多いコンテンツだったりする。この半年ほど、Yahoo!ニュースの編集部が、ある程度の対策をとったことで少しずつ正常化しつつあるとはいえ、現状でも、多かれ少なかれ偏向していることは否定しがたい。

 とはいえ、偏向した言論スペース内での限定的なリアクションではあっても、現実に否定的なコメントが何千件も寄せられている現状は、軽く見て良いことではない。
 われわれは、この種のコメントが吹き溜まるニュースサイトが日本一のページビューを記録する社会で暮らしている。ヤフコメに寄せられる跳ね上がりの声は、現時点での平均的な世論ではないにせよ、うっかりすると近未来における最大の世論になるのかもしれない。私はわりと本気で心配している。

 コメント群をざっと眺めてみて印象的なのは、否定的なコメントを発している人々のほとんどが、そもそもTIME誌の権威(あるいはTIME誌編集部の見識)自体に信頼を置いていない点だ。
 このことに関連して、海外メディアからの評価に一喜一憂する日本人の態度を嘲笑するコメントも散見される。

 個人的に、21世紀に入ってからこっち、いわゆる「出羽守」を忌避する空気がネット世論を席巻しつつある空気を感じていたのだが、ここへきていよいよ「出羽守フォビア」は、はっきりとネット民のど真ん中の共通認識に成長している。

 振り返ってみるに、安倍政権下のこの8年ほどは、日本に関するほとんどすべての国際指標が一方的に右肩下がりのカーブを描く中で推移してきた期間だった。
 低下の一途をたどっているのは、国内総生産(GDP)や実質賃金をはじめとする主要な経済指標だけではない。
 スイスのビジネススクールIMDが公表している「2020年版世界競争力ランキング」では、過去最低の34位になっている。
 このほか「報道の自由度ランキング」(180カ国・地域で66位)、「男女平等指数」(過去最低の121位)、「教育への公的支出ランキング」(38カ国中37位)
 などでも明らかな低迷を記録している。