最初にネタをひとつ。

 《TLがデワノカミ批判だらけなので、ライバルの神仏を告知しておきます。
 1.出羽守(デワノカミ):「欧米では」を連発する外国かぶれ
 2.奈良の大仏(ナラノダイブツ):「日本人なら」を連発する国粋主義者
 3.救世観音(クセカンノン):「◯◯人のくせに」を連発する差別主義者》

 これは、2018年の8月にツイッター上に投下した書き込みなのだが、こんな未消化なネタをわざわざ公開したのは、私自身が、この数年、いわゆる「出羽守」を嫌う日本人が増えたことをとみに実感しているからだ。

 念のために「出羽守」についてざっと解説しておく。

 「出羽守」は「でわのかみ」と読む。意味は、weblio辞書では
 《-略- 海外(特に欧米)の習慣や事柄を引き合いにして、日本のことを貶すような言動を取りがちな人のこと。 -略-》
 と説明されている。

 「欧米では」「アメリカでは」「フィンランドでは」という、外国かぶれの面々が多用する「◯◯では」の部分の音を「デワの神」の言葉としてとらえた語呂合わせの造語である。
 ちなみに「ウィキペディア(Wikipedia)」による「出羽守」の解説は、伝統的な解釈(←単なる「外国かぶれ」)から一歩踏み込んで、近年のネット保守用語としての「出羽守」のニュアンスを踏まえた内容になっている。

 冒頭に「出羽守」の解説を持ってきたのは、この2日ほどの間に、またぞろネット民の出羽守攻撃欲求を喚起するニュースがいくつか届けられたからだ。

 ひとつは、米TIME誌が選出する毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」に、日本から女子テニスの大坂なおみ選手と、実名を公表して性暴力被害と闘っているジャーナリストの伊藤詩織さんが選ばれたニュースだ。

 暗い話題ばかりが続く中で、若い日本人女性の活躍が、海外の有力メディアによって評価されたことを伝えるこの記事は、率直に祝福して良いできごとだと思う。

 ところが、わが国でのこの報道へのリアクションは、祝福一色ではない。
 というよりも、ネット内で明らかにされている声を観察する限りでは、世間の反応は「賛否両論」に分断されている。あるいは、より実態に即した言い方をするなら「炎上」という言葉を使った方がふさわしいのかもしれない。それほど彼女たちの選出を喜ばない声が大量に投稿されている。

 最もわかりやすい例は、選出を伝えるYahoo!ニュースの記事に付属しているコメント欄の書き込み群だろう。
 ご覧のとおり、冒頭に並んでいるオーサー(Yahoo!ニュースの個人コーナーに寄稿している著者)によるいくつかの祝福のコメントに続く書き込みを読み進めると、非難や失望のコメントが何千という単位で流れていく。