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 最初に告知をさせてください。
 9月に自著が二冊出ます。その宣伝です。

 一冊目は『日本語を、取り戻す』(亜紀書房)というタイトルのコラム集で、9月初旬発売の予定になっています。当欄(日経ビジネス電子版)に掲載した記事をはじめ、「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「Journalism」今は亡き「新潮45」などなど、各種商業メディアに寄稿したコラムをまとめたものです。タイミングがタイミングでもあるので、毎度、コラム集をまとめるたびに微妙に遠ざけられていた感のある政治ネタを、あえてひとまとめに集成してみました。読み応えのあるど真ん中直球の論説集に仕上がったと自負しています。政局や時事問題以外では、メディアや行政で使われる日本語の問題に焦点を絞った文章が揃っている点も特徴のひとつかなと思っています。軽快な疾走感とやや重い読後感を、この機会に、ぜひ味わってください。

 進行のお話をすると、本書のゲラは、7月中には仕上がっていて、残りは「あとがき」を書き加えるだけになっていました。ところが、その作業がなんだかんだで一ヶ月伸びて、本来なら8月中に出るはずだった予定が9月にズレこみました。そんなわけで、この場を借りて告知をしている次第です。

 もうひとつは、『災間の唄』(サイゾー)というタイトルで発刊予定のツイッター発言集です。2011年3月から2020年7月までに私が(@tako_ashi)というアカウントから発信したツイートを、コラムニストの武田砂鉄さんがセレクトして、解説をつけてくれています。本書に収録されたツイートが、いずれも東日本大震災とコロナ禍というふたつの巨大な災害の「災間」に発信された私たちの内なる声であることに思い至って、このタイトルを選びました。本書のゲラも、7月中にはツイートのセレクトから武田さんの解説原稿などなど、すべての要素が刷り上がっていたのですが、私の作業(まえがきとあとがき)が遅延して現在に至っています。なので、発売は9月の中旬になります。

 内容は、とにかく猛烈に刺激的です。私があとがきを書けずにいるのも、本文の内容の濃さに圧倒されているからだったりします。わが国の出版史上類を見ない画期的な箴言集になると思っています。ご期待ください。

 本題に入る。
 本題と言っても、なまぐさい政局の話題に触れるつもりはない。
 書けば書けないことはないのだが、あんたたちのお相手はもうたくさんだという気持ちがどうしてもぬぐいきれないからだ。

 というよりも、岡康道が死んでしまって以来、仕事に取り組む気分も含めて、あらゆる作業が停滞している。いまだに日常に復帰できていないというのが正直なところなのかもしれない。なので、こういう機会には、戻れていない日常について書くのがむしろ正解と判断して、それを書くことにする。

 とりあえずは旅行の話をする。
 行き来のある幾人かの知り合いが、異口同音に蟄居生活への呪詛を口にしはじめているからだ。
 なんというのか、自身の生活圏内から外に出ない生活を半年近く続けて、いいかげんにうんざりしている人々が現れている。