このことは、私が、これまで生きてきた長い間、音楽とスポーツの世界で活躍する黒人に敬意を抱いている自分を、ものわかりの良い、フェアで、偏見に毒されていない素敵にリベラルな人間だと考えていたこと自体、どうにも浅薄な態度だったということでもある。
反省せねばならない。
もちろん『13th』の中で展開されていた主張だけが正しい歴史認識であり、その見方と相容れない歴史観のすべてが間違っているということではない。
とはいえ、アタマからすべてを鵜呑みにしないまでも、合衆国の歴史に私たち日本人が気づいていない角度から光を当ててみせた、この見事なドキュメンタリー映画を見ることの価値は依然として大きい。
世界を吹き荒れているBLMの背景を理解するためにも、読者諸兄姉にはぜひ視聴をおすすめしたい。
さて、人種・民族や国籍をもとにした差別構造は、世界中のあらゆる場所に遍在している。
今回は、一例として、モデル/俳優の水原希子さんが発信したツイートをターゲットとして押し寄せているどうにも低次元なクソリプを眺めながら、うちの国に特有なみっともなくみみっちい差別について考えてみたい。
発端は、
「水原希子は、日本人感出すのやめてほしい」
という趣旨の一般人のツイートだった。
当該のツイートが既に削除されている(投稿者が削除したと思われる)こともあるので、その内容についてここであえて詳しく追及することはしない。
ここでは、元ツイートが、民族的には米韓のハーフであり国籍としては米国籍である水原希子さんが、日本人っぽい名前で芸能活動をしていることを非難する内容であったことをお知らせするのみにとどめる。
このツイートに対して、水原さんは16日に
《私がいつ日本人感出しましたか?日本国籍じゃなかったら何か問題ありますか?29年間、日本で育って、日本で教育を受けてきました。何が問題なのか全く分かりません。》
という引用RTを発信した(引用元のtwは、現時点では既に削除済み)。
これが、このたびの炎上のきっかけだった。
なお一連の経緯は以下のリンク先で記事になっている。
ちなみに申し上げればだが、水原希子さんが発信した引用RTにぶらさがっているリプライにひと通り目を通せば、21世紀の日本における差別的言辞の典型例を、過不足なく観察することができる。その意味で、これは通読するに値するスレッドだと思う。
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