- 「テレビのバラエティー番組で、どこだかの芸人がこんなことを言って、それを聞いたタレントの誰某がこんな返事をして笑いを誘ったよ」式の、番組内のトークを書き起こしただけのコピペ記事
- ツイッター論客の◯◯さんが、自身のツイッターで「〇〇は◯◯だ!」と、自説を開陳したよ。という、これまた個人のツイッター投稿をそのままコピペしただけのRT拡散記事
といったあたりが、ご覧の通り、この春以来、大量出稿されているゴミ記事の実相だ。
品質は、はっきり申し上げて「素人のブログ以下」だ。
じっさい、ちょっと気のきいたブロガーなら、同じテレビ番組の感想を書き起こすにしても、もう少しうがった文章を書く。というよりも、個人名で発信するブログの世界では、こんな恥ずかしいレベルのエントリーは、無料執筆者のプライドからして自分でボツにする。
こんな恥ずかしい文章は、カネになるのならまだしも、とてもではないが、タダではヒトサマに読ませるわけにはいかない。当たり前だ。それが文章を書く人間の最低限の矜持というものだ。
さて、この種のコピペ書き起こし記事のネタ元になる「芸人」や「論客」には、結果として、ある「偏向」が介在する。
どういうことなのかというと、以下の特徴を備えた人物の発言が、記事になりやすいということだ。
- ネット内に信奉者の多いお笑い芸人
- これまでに多数の炎上歴を持っている揮発性の高いツイッター論客
具体的な名前を挙げるのなら、松本人志氏、ほんこん氏、つるの剛士氏、百田尚樹氏、高須克弥氏、橋下徹氏、吉村洋文大阪府知事、東国原英夫氏といったあたりの面々になる。
こういう人たちの言葉を顔写真付きの記事にしてウェブ上にアップすると、一定数のページビューが見込めるわけだ。
「信者」と呼ばれる人々は、言説の内容にではなく、発言者の「顔」や「名前」に惹かれて群れ集まる性質を備えている。
ということは、その種の「信者」をかかえている以上、特定の「偏向」なり「教祖的熱狂」なりに殉じている人物だということでもある。
実のところ、スポーツ各紙が、これらのタレント論客の発言を無批判に拡散する記事を定期的に配信しはじめたのは、昨日今日の話ではない。
ツイッターならびにテレビ番組コピペ記事は、もう10年以上も前から続いているスポーツ紙編集部の収益源のひとつだった。というのも、駅売りと宅配の部数が長期低落傾向で推移する中、広告収入の点でも型通りの低迷を続けているスポーツ紙にとって、ウェブ版の記事を通じてのアフィリエイト広告収入と、他の媒体(ヤフーニュースやスマートニュースのような、ニュースアプリやキュレーションメディア)への記事の転載によってもたらされる掲載料は、バカにならない現金収入であるはずだからだ。
そんなわけで、スポーツ各紙は、目先の収入のために、本来の記事制作とは別のルートと人員(←この部分はオダジマの臆測です)で、ウェブ用の記事を粗製乱造してきたわけなのだが、このたび、いきなりのコロナ禍に直面して、本来の紙面作成ならびに取材記事執筆ができなくなってみると、副業のクリック収入稼ぎであったコピペ記事作りが、メインになってしまったというわけだ。
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