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 既に報道されているところによれば、中小企業に最大二百万円を支給する持続化給付金で、一般社団法人サービスデザイン推進協議会から事業の再委託を受けた広告大手の電通がさらに、人材派遣のパソナやIT業のトランスコスモスに業務を外注していたことが判明している。

 さらに、新型コロナウイルスをめぐる専門家会議の初回と3回目について、議事録が作成されていなかったのみならず、速記者さえ入っていなかったことが明らかになっている

 また、赤羽一嘉国交相は、6月3日の衆院国交委員会で、新型コロナウイルスで需要が落ち込んだ観光や飲食産業を支援する政府の「Go Toキャンペーン事業」で、事業者を選定する第三者委員会についても、メンバーや議事録などを公表する予定がないことを明らかにしている

 日米両国のニュース報道を見比べていると、「対立と分断」を繰り返しつつ、その軋轢と矛盾を乗り越えることで社会の基盤を整えてきた国と、「忖度と同調」を第一とし、危機に陥れば陥るほど、いよいよあらゆるものを隠蔽しにかかる国の違いに、しばし呆然としてしまう。

 われわれは、この先、誰かにとって都合の悪いすべてのものを隠蔽し、曖昧にし、忘却し、廃棄し、改ざんしながら、寄ってたかって歴史を推敲して行くことになるはずだ。

 混乱している国の荒れ果てた現状をうらやむのが、奇妙な心理であることは承知している。

 でも、互いの顔色をうかがってはウソばかりを言い合っている不潔な食卓よりは、口論の多い食卓のほうが健康的だ、と私はそう考えています。

 イエローなライブはマターではないのかもしれないので。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

延々と続く無責任体制の空気はいつから始まった?

現状肯定の圧力に抗して5年間
「これはおかしい」と、声を上げ続けたコラムの集大成
「ア・ピース・オブ・警句」が書籍化です!


ア・ピース・オブ・警句
5年間の「空気の研究」 2015-2019

 同じタイプの出来事が酔っぱらいのデジャブみたいに反復してきたこの5年の間に、自分が、五輪と政権に関しての細かいあれこれを、それこそ空気のようにほとんどすべて忘れている。

 私たちはあまりにもよく似た事件の繰り返しに慣らされて、感覚を鈍磨させられてきた。

 それが日本の私たちの、この5年間だった。
 まとめて読んでみて、そのことがはじめてわかる。

 別の言い方をすれば、私たちは、自分たちがいかに狂っていたのかを、その狂気の勤勉な記録者であったこの5年間のオダジマに教えてもらうという、得難い経験を本書から得ることになるわけだ。

 ぜひ、読んで、ご自身の記憶の消えっぷりを確認してみてほしい。(まえがきより)

 人気連載「ア・ピース・オブ・警句」の5年間の集大成、3月16日、満を持して刊行。

 3月20日にはミシマ社さんから『小田嶋隆のコラムの切り口』も刊行されました。