こんなことが起こってしまっている原因の一半は、おそらく、西村新型コロナ対策担当大臣が、経済再生担当大臣でもあれば、全世代型社会保障改革担当大臣でもあるという、不可思議な事情に関連している。

 ん?
 これは、いったいどういうことなのだろうか。

 片方の手で新型コロナウイルス対策のための思い切った施策を打ち出さなければならない担当大臣が、もう一方の手で、経済再生のことをあれこれ考えて慎重な財源管理を考慮せねばならないのだとしたら、これは、世間でよく言われている「利益相反」ということになるのではないのか?
 そうでなくても、大臣はダブルバインドの中で、にっちもさっちも行かなくなるはずだ。

 たとえばの話、プロ野球の球団で、打撃コーチがボールボーイを兼任していたりしたら、そんなファールゾーンに転がっているボールを拾って歩いているみたいなコーチの助言に、いったい誰が本気で耳を傾けるというのだ?

 西村大臣の苦衷は理解できる。
 新型コロナ対策担当大臣としては、財源を度外視してでもなんとかして思い切った救済策を打ち出したいはずだ。

 一方、経済再生担当大臣としては、目先の対策のために野放図な支出をする計画には絶対に反対せねばならない。
 とすると、彼自身、どうして良いのやら判断がつかなくなる。それがマトモな反応というものだ。

 責任は、西村大臣にはない。

 このバカげた状況の責任は、経済再生担当大臣に新型コロナ対策担当大臣を兼任させるような、たわけた人事を敢行した政権中枢に求めなければならない。

 あるいは、経済再生担当大臣として活躍している大臣に、このたびの新型コロナ対策の采配を委ねた時点で、首相は、本気でこの事態に対処する気持ちを持っていなかったということなのかもしれない。

 単に手が空いてそうな大臣にケツを持って行ったのか、それとも、あえて全力でウイルス対策に取り組むことのできない立場の大臣を担当に持ってくることで、カネをケチろうと考えたのか、どっちにしてもあまりにも不誠実な判断だったと申し上げなければならない。