ここで言う「バランス」とは、つまるところ、正規、非正規で働く人が休まざるを得なくなった場合に政府が出すことにしている1人当たり日額上限8330円の助成金の、およそ半額ということだ。

 どうしてフリーランスへの休業補償は一般の労働者の半額なのか。
 これは、じっくり考えてみなければならない問題だ。

 私が、この4100円という金額に失望したことは申すまでもないことだが、では、びっくりしたのかというと、実のところそんなこともなかった。

 「どうせそんなところだろう」
 と、あらかじめそう思っていたからだ。

 給付のために「企業からの業務委託」と「休校による休業」というおよそ現実味を欠いた二つの条件が課せられていた件についても同様で、私は、失望はしたものの、驚愕はしなかった。理由はこの場合も同様で、
 「どうせそんなところだろう」
 と、予測していたからだ。

 さらに、4100円という日額の算定基準が、「最低賃金×4時間」であるとか「正規・非正規労働者への給付金の半額」であるとかいった、まるで具体性のない「はじめに金額ありき」のぞんざいな説明でアナウンスされていることについても、まったく同様で、私は失望しつつしかし驚愕はしなかった。

 もうひとつ言えば、当初、私は、政府の冷たさに腹を立てていた。
 「いくらなんでもフリーランスをバカにしすぎなんじゃないか?」
 と、ツイッターにその旨の怒りの書き込みを投稿しようと考えたほどだ。

 でも、結果として、私は、この件について、ツイッター上では何も発信していない。
 腹立ちがおさまったから?

 そうではない。

 とはいえ、当初と違って、現在、私は必ずしも政府に対して腹を立てているのではない。
 落ち着いて考えてみるに、政府は、民意にしたがっただけなのだろうと思っている。

 だから、今回に限って、私は政府のやりざまに、がっかりはしていても、腹は立てていない。
 むしろ私は、「日本人」という曖昧かつ巨大な集合に対して、無闇矢鱈と腹を立てている。
 だからこそ困っている。
 というのも「日本人」は、私自身を含んでもいれば、親しい知人友人をすべてひっくるめた、「わたくしたちすべて」だからだ。
 その「日本人」に対して、私はどんな言葉をぶつけたらよいのだろう。