話を整理する。
まず夫婦同姓による同姓婚を望むカップルは、現在の制度であれ、選択的夫婦別姓制度が導入された改正民法下であれ、どっちにしても同姓婚を貫徹することができる。同姓婚を禁じる法律はどこにも存在しない。ということは、彼らは自分たちの結婚に関して、選択的夫婦別姓制度を導入した民法改正案に反対する理由を持っていない。そういうことになる。
次に、夫婦別姓で結婚することを願っているカップルは、現状の民法のもとでは、望み通りの形態で結婚することができない。しかし、民法が改正されて選択的夫婦別姓制度が導入されれば、別姓婚で入籍することができる。ということは、彼らには、選択的夫婦別姓制度を組み込んだ民法の改正案を支持する理由がある。
さて、それでは、選択的夫婦別姓制度を組み込んだ民法改正案に反対する理由を持っているのは、具体的にはいったいどんな人たちなのだろうか。つらつら考えるに、それは、
「自分たち以外の他人が夫婦別姓で結婚することを容認したくない人たち」
ということになる。
自分たち自身のことであれば、どっちの法律であれ、同姓婚の自由は保障されている。
とすれば、反対する理由は、他人の結婚に対してだけということになる。
まさかとは思うが、そんなケツメドの小さい人たちが、日本人の多数派なのだろうか?
答えを先に言うと、そんなことはない。
自民党の多数派は、選択的夫婦別姓に反対しているかもしれないし、自民党の支持母体である日本会議はもっと露骨に反対運動を展開している。
でも、一般国民の多数派が、この期に及んで他人の夫婦が別姓で一緒になることにいちいち反対しているのかというと、そんなことはない。
われわれは、いくらなんでもそこまで頑迷ではない。
法務省が公開している、《選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について》というページにくわしいデータが掲載されている。
そのページのリンク先にある
「選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移(総数比較)」
と題されたグラフを見ると、この件についてのこの四半世紀ほどの世論の推移が一覧できる。
平成29年(2017年)のデータでは、
「夫婦は必ず、同じ名字(姓)を名乗るべきであり、法律を改める必要はない」と回答した人は29.3%に過ぎない。
対して
「法律を改めてもかまわない」は、42.5%、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻前の氏を通称として使 えるように法律を改めることはかまわない」が24.4%、
「わからない」が、3.8%となっている。
これを見ると、民意は、夫婦別姓を容認している。
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