新年あけましておめでとうございます。
吉例のいろは歌留多、令和初の元旦にお届けいたします。
【い】犬もボーっと生きてんじゃねえよ!
真面目に生きている一般人を5歳児が叱り飛ばすいやな世の中になりました。
【ろ】論よりショートステイ
どんな国でも、二三日滞在してみると、わりと好きになったりするよね。
【は】腹を切らずに尻尾切り
上に立つ者の責任の取り方がすっかり変わってしまった今日このごろです。
【に】二階から鼻薬
二階幹事長経由の利益供与とか、ちょっとこわくて手を出せないよね。
【ほ】仏の顔も三本目の矢
アベノミクスの三本目の矢って、全然飛んで来ないんだけど、もしかして三本目はブーメランだったとか?
【へ】ヘタの横文字
「ワークライフバランス」とか言ってるヤツに限って徹夜残業してると思う。
【と】年寄りの岩清水
還暦を過ぎた男が「君のためなら死ねる」とか。あ、元ネタが古過ぎたかな?
【ち】塵も積もれば風が吹く
チマチマ貯めたポイントカードのポイントとかって、高級フルーツ一個で消えてなくなるよね。
【り】両手に花見の招待状
あの花見の招待状って、いずれ反社の人間が恐喝のネタに使う気がします。どうせ適当にばらまいてダブったりしてるんだろうし。
【ぬ】濡れ衣を脱げば脱ぐほど見苦しき
誰がおまえと合意なんかを。
【る】ルッキズムは友を呼ぶ
ブサイクは嫌いだとか言ってる人たちがお互いを嫌い合っている地獄。
【を】女三人寄れば菓子不味い
せっかく女子会でスイーツ食べてるのにダイエットの話題持ち出す女って最低よね。
【わ】若い時のクローンも老化する
かといってトシを取ってから自分のクローンを作っても意味ないしなあ。
【か】閣議は踊る
最近の閣議決定は、酔っ払いが踊りながら考えてるとしか思えません。
【よ】嫁は家のものにあらずして家は嫁のものなり
ちなみに「夫」という字は「人」を取り消し線「=」で消した姿です。
【た】逮捕状は書き捨て
人生が旅なら、旅の恥は知らぬ存ぜぬだわな。
【れ】礼に始まりプで終わる
あな憎や レイプ野郎の最後っ屁。
【そ】備えあれば御礼なし
貰う気満々な人って、お返しをする気持ちを持ってなかったりするよね。
【つ】月が変わってお仕置きよ!
リボ払いの月額返済って、最終的に地獄の様相を呈しますね。
【ね】ネオリベにたたり目
あの人たちの自己責任論は、要するに弱いものいじめですよ。
【な】長芋の庭蒔かれろ
長芋が繁茂して肥大根が地中深くまで伸びた庭に、ほかの植物の種を蒔いても無駄だよ、というのは、偏頗な農業知識でしたね。
【ら】拉致あれば苦あり
「ワタクシ自身が真剣に向き合って解決する」とか言ってたお話はどうなったのでしょうか。
【む】六日の菖蒲(あやめ)民事の勝訴
間に合わなかったけど、まあ、ゼロよりはましかな、と。
【う】上には飢えがある
案外、出世した人ほど満たされていなかったりするものでね。
【ゐ】いつまでもアルトソプラノバステノール
混声四部合唱のチームが長続きするためには、なによりもまず生活の安定が不可欠なのだそうですね。
【の】残り物には腹腔鏡手術
絶望的な患者でも、一応腹腔鏡で中の様子を見ることはするとかしないとか……。
【お】おまえ百田でわしゃ曽野綾子
いやな読書傾向の老夫婦だなあ。
【く】腐っても退職金
最終的に会社のお荷物だった社員にも退職金は支払われるわけだけど、30年先にはもうそういうこともなくなっているのだろうな。
【や】ヤケ維新に水
ヤケを起こした維新の連中が都構想を無理押ししはじめた以上、もはや水をかけても無駄ですね。
【ま】待てばカイロの石油王
婚期がどうのと焦るのは素人。待っていれば白いラクダに乗った石油王子が現れるかも。
【け】下衆のこんがり
下衆な人たちの婚外交渉は、こんがり焼ける息の長い炎上ネタになります。
【ふ】不起訴盆に返らず
ひとたび不起訴処分にした事案は、滅多なことでは再審理できません。逮捕状の握りつぶしが悔やまれます。
【こ】転ばぬ先の2L
どうせ中年太りするんだし、ジャケットとかは、はじめから2L(ツーエル)か3L(スリーエル)を買っとくもんだよ。
【え】エロの敵(かたき)を名晒しで討つ
密室の秘め事なんていう設定は蹴飛ばして、真正面からMeTooを宣言します。
【て】天上天下唯我独身
昇太師匠もヤマちゃんも若林もバカリズムの升野も結婚したのにオレときたら。
【あ】アッキーの空音(そらね)と商人(あきんど)の元値
まあ、どっちもアテにならない話なんで、聞き流しておきましょう。
【さ】三度目の掃除機
潔癖症の人は、何度でも掃除機をかけるのだそうですが、たぶん、そういう人は、この国に耐えられなくなってすでに出国しているのでしょうね。
【き】机上の苦労人
政治家の経歴を見ると、実際には裕福な家庭から楽勝で大学に通ってた人間が「苦学」とか言ってて草。
【ゆ】夢で三兆目覚めて五兆
招致の段階で八千億円だったものが、いつの間にやら三兆円にふくれあがっている五輪関連予算は、最終的には五兆円までいくでしょう。悪夢です。
【め】メイドのみやげ
昨今のメイド喫茶は、物販コーナーも充実しているのだそうで。
【み】三日見ぬ間の名簿かな
満開の 桜もかくや なつかしき 名簿はもはや 露と消えたり。
【し】失敗は成功のははははは
失敗してもはははははと笑っていれば成功っぽく見えるし、もしかしてそうやって笑っていられるのであれば、成功なのかもしれないぞ。
【ゑ】N国にも三分の理
つまり三分であれ理屈がつけられればやっていけるわけで、議員なんていう商売は楽勝ですわ。
【ひ】人を見たらドローンと思え
いや、ホントの話、単純な泥棒よりドローンの方がコワイんではないかと思います。
【も】もりともにあわれと思え山桜
端(はな)よりほかに知る人もなし……てなことで、書類が改ざんされて名簿が廃棄された以上、闇に葬られるのでしょうかね。
【せ】背に腹は耐えられぬ
満員電車でおっさんの腹が背中を圧迫してくるのって、かなり深刻にキモいよね。
【す】スガる身のサビわが不徳
困った時にすがる相手がスガさんだったというのは、まさに自業自得の自己責任。浮かぶ瀬もなき生き地獄ですね。
【ん】んんんー、令和も苦しい船出です
新春吉例の歌留多遊びも8回目になりました。無理めのこじつけ、ご容赦ください。
(文・イラスト/小田嶋 隆)
小田嶋隆×岡康道×清野由美のゆるっと鼎談
「人生の諸問題」、ついに弊社から初の書籍化です!
「最近も、『よっ、若手』って言われたんだけど、俺、もう60なんだよね……」
「人間ってさ、50歳を超えたらもう、『半分うつ』だと思った方がいいんだよ」
「令和」の時代に、「昭和」生まれのおじさんたちがなんとなく抱える「置き去り」感。キャリアを重ね、成功も失敗もしてきた自分の大切な人生が、「実はたいしたことがなかった」と思えたり、「将来になにか支えが欲しい」と、痛切に思う。
でも、焦ってはいけません。
不安の正体は何なのか、それを知ることが先決です。
それには、気心の知れた友人と対話することが一番。
「ア・ピース・オブ・警句」連載中の人気コラムニスト、小田嶋隆。電通を飛び出して広告クリエイティブ企画会社「TUGBOAT(タグボート)」を作ったクリエイティブディレクター、岡康道。二人は高校の同級生です。
同じ時代を過ごし、人生にとって最も苦しい「五十路」を越えてきた人生の達人二人と、切れ者女子ジャーナリスト、清野由美による愛のツッコミ。三人の会話は、懐かしのテレビ番組や音楽、学生時代のおバカな思い出などを切り口に、いつの間にか人生の諸問題の深淵に迫ります。絵本『築地市場』で第63回産経児童出版文化賞大賞を受賞した、モリナガ・ヨウ氏のイラストも楽しい。
眠れない夜に。
めんどうな本を読みたくない時に。
なんとなく人寂しさを感じた時に。
この本をどこからでも開いてください。自分も4人目の参加者としてクスクス笑ううちに「五十代をしなやかに乗り越えて、六十代を迎える」コツが、問わず語りに見えてきます。
あなたと越えたい、五十路越え。
五十路真っ最中の担当編集Yが自信を持ってお送りいたします。
この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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