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 たとえばの話、原子力発電所にある「バックアップ電源」は、何らかの理由(津波とか)によって、原発の冷却水を冷やす電源が失われた場合に備えて、自動的に発電して原発を冷却するための非常用電源なのだが、このバックアップ電源を「公式の電源ではない」ってな理由で無効化してしまったら、非常の際、冷却されない原子炉は、そのままメルトダウンするほかにどうしようもない。菅さんはそれでもかまわないというのだろうか。

 思うに、官房長官の不可解なステートメントを理解するためには、手順を踏まなければならない。

 以下、順を追って説明する。

  • (1) 原本の名簿データは、紙、電子データともに、5月上旬の時点で削除されている。
  • (2) 外部の端末に残っていると思われていたバックアップデータについては、5月21日の時点で内閣府の幹部が、「破棄した」と答弁している。
  • (3) (1)および(2)によって、政府は、野党からの名簿データ提出の要求を拒絶した。
  • (4) ところが、バックアップデータは、5月21日以降も残っていたことが判明した。
  • (5) (4)によって、(2)「虚偽答弁」になるはずなのだが、それはともかくとして、(4)の前提に立つなら、5月21日の時点で、政府が野党からの名簿データ提出の要求を拒絶していた理由が成立しなくなる。
  • (6) (3)を正当化するために、あらためてバックアップデータが(国会議員の要求に従って政府が提出を義務付けられている)行政文書に当たらないという理屈が発明された。

 ということになる。

 なんだか19世紀のダメな小説家が書いたバカな寓話みたいな話だ。

 このほかにも、菅官房長官は、
「『反社会的勢力』は様々な場面で使われ、定義は一義的に定まっているわけではないと承知しています」

 などという、正気を疑わしめるような発言を漏らしている。

 これもひどい。

 仮に、菅官房長官のおっしゃる通りに「反社会的勢力」が、一義的に定義できない曖昧な存在なのだとしたら、暴対法のもと、警察から「反社」との取引や交際の禁止を厳しく求められている一般企業は、いったい何を基準に自分たちの行動をいましめたらよいというのだろうか。

 あまりにもばかばかしい。

 12月4日放送の「NEWS23」(JNN系)は、内閣府の幹部によるさらに信じられない発言を紹介している。

 これは、マジでひどい。

 日本語が死んだ日として、国民の祝日に推薦してもよいくらいだ。