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 でなくても、どうしてこういう見え透いた書き方の責任追及で仕事をしたつもりになれるのか、私にはそこのところがどうしてもわからない。

 結果として、大臣に陳謝させることができたのだとして、いったい誰が得をするというのだ?

 私の見るに、今回のケースでは、得をしたのはあきらかに政権側だ。

 なぜというに、政府としては、河野防衛相がどうでもよい失言について潔く陳謝したことで、結果としてより深刻かつ重大な格差容認発言である萩生田文科相のケースの印象を薄めることに成功したからだ。

 おそらく、河野大臣は大喜びで謝罪会見に臨んだはずだ。

 実際、あの謝罪はたいした失点にならない。むしろ、素早い謝罪対応が得点になっている。

のみならず、
 「あー、河野さんも重箱のスミばっかりつついているケツメドのちっちゃいメディアにあれこれいじめられて大変だよね」
 「野党ってこんなゴミみたいな追及しかできないわけ?」

 てな調子で、同情が集まる可能性さえ考えられる。

 もちろん萩生田大臣も安堵しているはずだ。というのも、本来なら、自らの発言について、釈明と真意の説明を求められるはずのところを、撤回と謝罪という通り一遍の処置で逃げ切れたのは、同じ時期に弾除けになってくれる同僚の大臣がいてくれたおかげだからだ。

 バカな話だ。

 最後に、萩生田文科相の発言の悪質さについて説明しておく。

 あれは、偶然の発言ではない。

 テレビ出演の際の長尺の発言から一部を切り取った結果生じたニュアンスの変化による悪質さでもない。

 萩生田文科相が、常々考えている自身の教育観をそのままテレビのカメラに向かって語って見せた、そのものズバリの格差容認発言そのものだ。

 彼は、記事の中でこう言っている

 「それを言ったら『あいつ予備校に通っていてずるいよな』というのと同じ」
 そして、
「裕福な家庭の子が回数受けてウオーミングアップできるみたいなことがもしかしたらあるのかもしれない」

 と、現状に経済的な格差による有利不利が存在していることを認めた上で、あらためて
「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」
 と述べている。