和田誠さんの訃報は、彼自身が有名であることに冷淡だったことの当然の帰結として、不当にひっそりと報じられて、すでに忘れられようとしている。それは残念なことでもあるのだが、同時に、和田さんらしい身の処し方の結果だと思えば、ふさわしい結末でもある。

 この原稿を書いていてふと気づいたのだが、私は、映像の中で動いてしゃべっている和田誠さんの姿をついぞ見たことがなかった。それどころか、不思議な話なのだが、私は和田誠さんの顔を知らない。ご自身の肖像は今回の訃報に関連して初めて拝見した次第だ。

 にもかかわらず、訃報に触れて以来の喪失感の大きさは、この数年の間にこの世を去った誰の時のそれと比べても、ひときわ大きく深い。

 そんなわけなので、今は、顔も知らない人をこれほどまでに深く敬愛していた自分の純真さを、ほめてあげようと思っている。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

小田嶋隆×岡康道×清野由美のゆるっと鼎談
「人生の諸問題」、ついに弊社から初の書籍化です!

 「最近も、『よっ、若手』って言われたんだけど、俺、もう60なんだよね……」
 「人間ってさ、50歳を超えたらもう、『半分うつ』だと思った方がいいんだよ」

 「令和」の時代に、「昭和」生まれのおじさんたちがなんとなく抱える「置き去り」感。キャリアを重ね、成功も失敗もしてきた自分の大切な人生が、「実はたいしたことがなかった」と思えたり、「将来になにか支えが欲しい」と、痛切に思う。

 でも、焦ってはいけません。
 不安の正体は何なのか、それを知ることが先決です。
 それには、気心の知れた友人と対話することが一番。

 「ア・ピース・オブ・警句」連載中の人気コラムニスト、小田嶋隆。電通を飛び出して広告クリエイティブ企画会社「TUGBOAT(タグボート)」を作ったクリエイティブディレクター、岡康道。二人は高校の同級生です。

 同じ時代を過ごし、人生にとって最も苦しい「五十路」を越えてきた人生の達人二人と、切れ者女子ジャーナリスト、清野由美による愛のツッコミ。三人の会話は、懐かしのテレビ番組や音楽、学生時代のおバカな思い出などを切り口に、いつの間にか人生の諸問題の深淵に迫ります。絵本『築地市場』で第63回産経児童出版文化賞大賞を受賞した、モリナガ・ヨウ氏のイラストも楽しい。

 眠れない夜に。
 めんどうな本を読みたくない時に。
 なんとなく人寂しさを感じた時に。

 この本をどこからでも開いてください。自分も4人目の参加者としてクスクス笑ううちに「五十代をしなやかに乗り越えて、六十代を迎える」コツが、問わず語りに見えてきます。

 あなたと越えたい、五十路越え。
 五十路真っ最中の担当編集Yが自信を持ってお送りいたします。

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