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 以上の5つの返信への私の当面の返信は以下の通りだ。マジメに読んでほしい。

  1. 韓国が自国民の旭日旗への反発感情や被害者意識を「外交カード」として利用しているのはその通りだと思う。ただ、旭日旗に反発しているのが「韓国だけ」だというのは、歴史を知らない人間の見方だ。正確には、「旭日旗への反発を表立った外交の場で外交カードとして持ち出している国が、いまのところ韓国以外に見当たらない」ということにすぎない。反発感情は、アジア、オセアニアはもとより、日本軍の捕虜となった軍人を数多くかかえるオランダや英国の国民の中にも底流している。

  2. キ・ソンヨンの「猿真似パフォーマンス」に関しては、彼の行為の非をまず認定すべきだろう。ただ、それはそれとして、キ・ソンヨン選手が持ち出した「弁解」を発端として、韓国国内での旭日旗への反発が正当化されたと断言するのは、極論の類だと思う。旭日旗への反発感情は、韓国国内でずっと底流していたものだ。それを表立った抗議行動に「表面化」させる結果をもたらしたのが、キ・ソンヨン選手の「弁解」だったと見るのが穏当なところだ。

     それまで、表立って語られることのなかった旭日旗への反発がいきなり浮上したように見えるのも、少なくともその時点までは、日韓戦のスタジアムで旭日旗を振るようなファンが登場していなかったから(もっとも、この時に本当に旭日旗が掲げられていたのかどうかについては、いまだに確たる結論が出ていないのだが)ということにすぎない。いずれにせよ、背景には2002年の日韓共催W杯におけるゴタゴタから、両国のサッカーファンの間に過剰な反発感情が醸成されていたことがある。旭日旗の持ち込みも、それに対する反発も、これらの背景を踏まえたものだ。

  3. 五輪の観客席で朝日新聞の社旗を振るような「まぎらわしい」ないしは「挑発的な」行為は、自粛した方がよい。実際、朝日の社旗を振る必然性はまったくないわけだし。

  4. 海上自衛隊の艦船が、彼らの公式の旗として旭日旗を掲げるのは当然の所作だ。国際舞台であっても、各国の軍隊の集まりという枠組みの中で、それぞれの国の軍隊が自国の礼法に則った旗を揚げている限りにおいて、何の問題もない。ただ、その海上自衛隊の旗を、わざわざ五輪のスタジアムに持ち込むことについては、なんらの理由も必然性も正当性もない。悪質な政治宣伝であり卑劣な挑発行為だ。

  5. そっちこそどうなんだ主義(Whataboutism)」に基づいた議論には乗らない。あまりにもばかげている。

 長い原稿になってしまった。

 最後にこんなことを書くのはなさけなくもくだらないのだが、一言だけ言っておく。

 寄せられるコメントの中に
「オダジマは原稿料欲しさに、やたらと長い原稿を書いている。見苦しい」

 という感じの批判が時々みかけられる。が、当欄の規定では、私の受け取るギャランティーは、原稿の文字量とは関係していない。2000文字程度であっさり仕上げようが、20000文字の長大なテキストをアップしようが、私が受け取る金額は同じだ。そこのところをわかってほしい。

 なお、当欄に寄せられたコメントには返信はしない。その答えは、友達よ、風に吹かれている。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

小田嶋隆×岡康道×清野由美のゆるっと鼎談
「人生の諸問題」、ついに弊社から初の書籍化です!

 「最近も、『よっ、若手』って言われたんだけど、俺、もう60なんだよね……」
 「人間ってさ、50歳を超えたらもう、『半分うつ』だと思った方がいいんだよ」

 「令和」の時代に、「昭和」生まれのおじさんたちがなんとなく抱える「置き去り」感。キャリアを重ね、成功も失敗もしてきた自分の大切な人生が、「実はたいしたことがなかった」と思えたり、「将来になにか支えが欲しい」と、痛切に思う。

 でも、焦ってはいけません。
 不安の正体は何なのか、それを知ることが先決です。
 それには、気心の知れた友人と対話することが一番。

 「ア・ピース・オブ・警句」連載中の人気コラムニスト、小田嶋隆。電通を飛び出して広告クリエイティブ企画会社「TUGBOAT(タグボート)」を作ったクリエイティブディレクター、岡康道。二人は高校の同級生です。

 同じ時代を過ごし、人生にとって最も苦しい「五十路」を越えてきた人生の達人二人と、切れ者女子ジャーナリスト、清野由美による愛のツッコミ。三人の会話は、懐かしのテレビ番組や音楽、学生時代のおバカな思い出などを切り口に、いつの間にか人生の諸問題の深淵に迫ります。絵本『築地市場』で第63回産経児童出版文化賞大賞を受賞した、モリナガ・ヨウ氏のイラストも楽しい。

 眠れない夜に。
 めんどうな本を読みたくない時に。
 なんとなく人寂しさを感じた時に。

 この本をどこからでも開いてください。自分も4人目の参加者としてクスクス笑ううちに「五十代をしなやかに乗り越えて、六十代を迎える」コツが、問わず語りに見えてきます。

 あなたと越えたい、五十路越え。
 五十路真っ最中の担当編集Yが自信を持ってお送りいたします。