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 ただ、組織委ならびに政府の中の人たちも、いくらなんでもこのまま旭日旗OKの方針を貫いて、五輪本番を迎えるつもりではないはずだ。彼らとしては、妥当なタイミングを見計らって、IOCなりほかの欧米諸国の誰かなりの「勧告」なり「助言」なりを受容する形で、旭日旗の持ち込みを「自粛」する(←周辺諸国の国民感情に「配慮」するとかなんとか言いながら、半ば恩に着せつつ)形で軟着陸するシナリオを想定しているはずだ。

 つまり、
「韓国からのイチャモンは断固として拒絶するが、IOCだとか欧米諸国だとかが示してくる遺憾の意とか憂慮の念には敏感に反応する用意があるよ」

 ということだ。

 私自身も、ことここに至った以上、そのシナリオ(IOCに叱られて静かに尻尾を巻くソリューション)が一番望ましい展開だと思っている。

 ただ、このシナリオにはちょっとした穴がある。というのも、IOCがそれはそれで腐った(デカい魚はアタマから腐る。そして、アタマの腐った魚は正常な判断ができない)組織だからだ。

 IOCはこの問題を放置するかもしれない。というよりも、彼らが、現場の問題に適正に関与できるだけの能力と責任感を持っていると考える方がむしろどうかしている。彼らは、私の目には、うちの国の五輪組織委以上に無能で無責任で、ただただカネだけを欲しがっているだけの団体に見える。ちなみに、この見方は広く世界中で共有されている。IOCは単に無能なのではない。あれは腐った組織だ。

 IOCがこの問題を放置する理由の第一は、単に面倒くさいからだ。当然だ。彼らは、利権につながらない仕事には興味を持たない。旭日旗のような、面倒くさいだけで誰ももうからない話にはハナもひっかけないだろう。

 もう一つIOCがこの問題に興味を持たない理由は、日韓両国間の炎上案件に手を突っ込んで火傷をするリスクを取りに行くだけの根性を持っていないからだ。これも大いに考えられる。カネには転んでも状況は読めない。あそこはそういう組織だ。

 ということになると、最悪なシナリオが浮上する。つまり、このまま「旭日旗OK」の判断を押し通して、引っ込みがつかないまま五輪本番を迎えてしまうということだ。と、サッカーであれバレーボールであれ、日韓戦の枠組みで処理される競技のスタジアムには、大量の愛国業者の皆さんが群れ集まってこれまた大量の旭日旗を持ち込むことになる。でもって、競技が始まると、観客席には旭日旗が林立乱舞し、その穏やかならぬ絵面(えづら)が、国際映像として世界中に配信される。

 これこそが、最終的な悪夢だと思う。

 最後に、これも炎上の種にしかならないとは思うのだが、メモ書きとして作ってしまったものなので、乗りかかったタイタニックというのか、歩き始めたインパール作戦の心持ちで書き起こしておくことにする。担当の編集者さんには気の毒な展開だが、私には、現在かかえている病気の症状を除けば、特段に恐れるべきものがない。

 冒頭の部分でリンクを張った私のツイートに対して寄せられた返信をざっと読み返してみるに、このたびの五輪組織委による旭日旗容認の判断を擁護している人々の主張は、いくつかに分類できる。

 本来なら、この種のクソリプまがいにいちいち反論するのは、ネット上の論争にかかわる人間として、適切な態度ではない。というのも、ここで議論が始まってしまうと、この話題が
 「議論の余地のある」
 「論争的な」
 「対立する二つの陣営の双方がそれなりの論拠を持っているはずの」
 「どっちもどっちの」
 「普通の人間は踏み込まない方がよい物騒な」
 話題であることを認めてしまうことにつながるからだ。実態は違う。本件は論争的な話題ではない。