聞けば、吉本興業はNTTと組んで、教育コンテンツを発信するプラットフォーム事業「Laugh & Peace_Mother(ラフアンドピースマザー)powered by NTT Group」を開始する旨を発表したのだそうで、その事業には、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が最大100億円まで出資
することになっている。

 カネと人気と影響力があるだけでなく、官邸との間に太いパイプを持ち、なおかつ万博の顔になることがすでに決まっているコワモテの企業に対して、この先、うちの国のメディアで働く記者たちは、どこまでビビらずに取材を敢行して、どれだけ核心に迫る原稿を書くことができるのだろうか。

 私は楽観していない。

 芸能マスコミが瀕死であることはすでにわかっている。

 してみると、非芸能マスコミの記者さんたちが、まるで別のタイプだとは考えにくい。

 詐欺グループの忘年会に出席して

 「君の声が力になる 君の笑顔が力になる」
 という歌を歌った宮迫氏ほどではないにしても、どうせ提灯を持つことになるのではなかろうか。

 あるいは、くずの自覚を持っている分だけ、宮迫氏の方がまだマシなのかもしれない。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

■修正履歴
吉本興業は2010年に上場廃止していました。お詫びして訂正します。 [2019/7/1 12:20]

『街場の平成論 (犀の教室)』(晶文社)


どうしてこんな時代になったのか?
「丈夫な頭」を持つ9名の論者による平成30年大総括

戦後史五段階区分説 ――内田樹
紆余曲折の日韓平成史 ――平田オリザ
シスターフッドと原初の怒り ――ブレイディみかこ
ポスト・ヒストリーとしての平成時代 ――白井聡
「消費者」主権国家まで ――平川克美
個人から「群れ」へと進化した日本人 ――小田嶋隆
生命科学の未来は予測できたか? ――仲野徹
平成期の宗教問題 ――釈徹宗
小さな肯定 ――鷲田清一

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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。