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 仕事のありがたさは、実に、こういうところにある。

 つまり、仕事として関わりを持つからこそ、本来ならまるでハナもひっかけないような愚劣な分野に関して、およそひと通りの知識や感触を得ることが可能になるということだ。

 今回の事件も、詳細を追えば追うほど、徹頭徹尾、実にくだらないなりゆきなのだが、そういうふうに愚劣で低劣で陋劣であるからこそ、この種の逸脱事案は、われらパンピーにとって重要な教訓を含んでいたりもするわけで、つまり、この事件の登場人物たちは、誰も彼も、一から十まで、実にどうしようもない日本のチンピラなのである。

 さて、冒頭の疑問に戻る。

 「闇営業」とは何だろうか。

 この言葉を知らなかった私が最初に文字面から類推したのは、
 「つまり、アレか? 闇世界の人間のための芸能活動ってことか?」
 ということだった。

 これは実にありそうな話だ。

 そもそも、はるか昔の戦前の日本にさかのぼれば、歌にせよ舞踏にせよ語り芸でせよ、不特定多数の観客を相手に娯楽を提供する芸能の仕事は、地域や業界ごとの縄張りを管理する任侠の人間や旅芸人を差配するタカマチの人々やその関係者たちと切っても切れない、渡世人の生業(なりわい)だった。

 それが悪いと言っているのではない。

 起源をたどっていけば、芸能と暴力団は同じ根っこから発展した別の枝だという意味のことを私は言っている。

 是非を言っているのではない。私は、成り立ちの話をしている。