全6423文字

 「闇営業」という言葉は、いつ頃からメディアで使われるようになったのだろうか。

 この耳慣れない言葉は、誰によって発明され、どんな分野で市民権を得て、いかなるタイミングで新聞の紙面で使われるまでに成長したのだろうか。

 職業柄、この種の新語には敏感なつもりでいるのだが、不覚なことに、私はこの言葉を、つい3日ほど前までまったく知らなかった。

 この関係のニュースを知ったのは、ツイッターのタイムライン上に、スポニチの記事へのリンクが張られたからだ。

 ところが、吉本興業所属の芸人などによる「闇営業」の顛末を伝える記事へのリンクは、その日のうちに、突如として削除される。

 ニュースに反応していたアカウントのツイートは、当然、リンク切れになる。
 かくして、この種のなりゆきにセンシティブなニュースウオッチャーたちが騒ぎはじめる。

「なんだ?」
「どういうことだ?」
「どうしていきなり削除してるんだ?」
「圧力か?」

 ほどなく、SNS上のざわざわした空気を察知して、ハフポストが、この間の経緯を取材した記事をアップする。こういうところはさすがにネットメディアならではの機敏さだ。

 さて、吉本興業は、当初、ハフポストの取材に対して、スポニチの記事が「誤報」だという趣旨の回答を提供した。

 であるから、ハフポストも、第一報の段階では、その吉本興業のコメントに沿った(つまり、スポニチが誤報を配信して削除したというストーリー)内容で記事を配信している。

 しかし、ほどなく、ハフポストの記事は、見出しの末尾に
【UPDATE】
 という但し書きを付けた改訂版に差し替えられる。

 私は、失笑せずにおれなかった。というのもこの
【UPDATE】
 なる英語は、翻訳すれば
【ごめん。さっきまでの記事は誤報だった。こっちが正解。ごめんごめん】
 ということになるからだ。まあ、こんなふうに悪びれもせずにさらりと訂正記事を出せてしまうところが、ネットメディアのある種のたくましさなのだろう。立派だとは思わないが、リアルな態度だとは思う。

 もっとも、ハフポストの「誤報」は、彼らの文責によるものではない。吉本興業による「フェイク情報」をそのまま流してしまったカタチだ。してみると、この【UPDATE】案件の主たる説明責任は、あくまでも吉本興業に帰されなければならない。

 けれども、吉本興業は謝罪をしない。釈明しようとした形跡すら皆無だ。

 ハフポストの【UPDATE】版の記事には
 《吉本興業は当初、誤報として否定していたが、その後公式に発表した。》
 とだけ書いてある。

 「ん? それだけか?」
  というのが、普通のメディアリテラシーを備えたまっとうな読者の反応だと思う。

 だって、ヒトサマの書いた記事を「誤報」と決めつけておきながら、一言のあいさつもないというのは、社会的影響力の大きい企業としてありえない態度ではないか。