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「オレはどこまでもオレ自身としてオレ一人で勝負してやんよ」
 と思い極めているホリエモンフォロワーたちは、実際のところは「無党派層」という圧倒的なマジョリティーに属している。

 が、そのマジョリティーを微分した一人ひとりの無党派の個人は、自分を孤立無援の徒手空拳の独立独歩のマイノリティーだと思いこんでいたりする。

 で、自身を孤独なマイノリティーだと思いこんでいるからこそ
「徒党を組む脆弱な個人の集合体」
 である、デモの人々を心の底から軽蔑しているわけなのだ。  

 さて、堀江氏による一連のツイートのハイライトは、米国在住の映画監督・想田和弘氏の
《デモに参加するとなんで「税金泥棒」になるのだろうか。デモに参加するとどうやって税金を泥棒できるのだろうか。意味がわからない。香港のデモに参加した200万人は税金を泥棒しているのだろうか。》
 という問いかけに対して
《お前相変わらず文脈とか行間読めねーんだな。親切に教えてやるよ。このデモに参加してる奴の大半は実質的に納税してる額より給付されてる額の方が多いんだよ。それを税金泥棒って言ってんだよ》
 と回答した言葉の中にある。

 この回答の中で、堀江氏は、納税額の少ない人間は、発言権も抑えられてしかるべきだという、空恐ろしい高額納税者万能思想をうっかりもらしてしまっている。

 このおよそ尊大な思想に乗っかる形でデモ隊を罵倒しているプチ・ホリエモンたちは、もしかして、富豪揃いのメンバーズなのだろうか。

 たぶん、ノーだ。

 ネット上の架空人格として、「富裕層の自分」を選んだアカウントが多かったということなのだと思う。

 つまり、彼らはそれほどまでに孤独なのだ。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

『街場の平成論 (犀の教室)』(晶文社)


どうしてこんな時代になったのか?
「丈夫な頭」を持つ9名の論者による平成30年大総括

戦後史五段階区分説 ――内田樹
紆余曲折の日韓平成史 ――平田オリザ
シスターフッドと原初の怒り ――ブレイディみかこ
ポスト・ヒストリーとしての平成時代 ――白井聡
「消費者」主権国家まで ――平川克美
個人から「群れ」へと進化した日本人 ――小田嶋隆
生命科学の未来は予測できたか? ――仲野徹
平成期の宗教問題 ――釈徹宗
小さな肯定 ――鷲田清一