なんというのか
「貧すれば鈍する」

 という、身も蓋もない格言が暗示しているところそのままだと申し上げてよい。

 あるいは今回取り上げるつもりでいる話題も、
「貧すれば鈍する」

 というこの7文字で論評すれば、それで事足りる話なのかもしれない。

 たしかに、業界の外の人間にとっては
「しみったれた話ですね」

 という以上の感慨は浮かばないのかもしれない。

 なんともさびしいことだ。

 話題というのは、講談社が発売している女性ファッション誌「ViVi」のウェブ版が、自民党とコラボレーションした広告企画記事を掲載した事件だ。

 「ハフポスト」の記事によれば経緯はこうだ。

《講談社の女性向けファッション誌「ViVi」のウェブ版が、自民党とコラボしたことが話題となっている。
「ViVi」は6月10日、公式Twitterで「みんなはどんな世の中にしたい?」と投稿。「#自民党2019」「#メッセージTシャツプレゼント」の2つのハッシュタグをつけて自分の気持ちをつけて投稿するキャンペーンを発表した。
計13人に、同誌の女性モデルら9人による政治へのメッセージが描かれたオリジナルTシャツが当たるという。─略─》

 私がこのコラボ広告記事の企画から得た第一印象は、
「あさましさ」
 だった。

 これまで、雑誌や新聞が政党や宗教団体の広告を掲載した例がないわけではない。

 というよりも、選挙が近づくと、各政党はあたりまえのように広告を打つ。これは、政党と広告に関する法規制が緩和されて以来の日常の風景だ。

 であるから、私自身
「政党が広告を打つのは邪道だ」
 と言うつもりはない。

 逆に
「雑誌が政党の広告を乗せるのは堕落だ」
 と主張するつもりもない。

 ただ、今回の「コラボ・メッセージつきTシャツプレゼント企画」に関して言えば、「一線を越えている」と思っている。

具体的に言えば
「政党が雑誌購読者に告知しているのが、党の政策や主張ではなくて、Tシャツのプレゼントであること」
 が、うっかりすると有権者への直接の利益ないしは利便の供与に当たるように見えることと、もうひとつは、
「今回のぶっちゃけたばら撒きコラボ広告は、ほんのパイロットテスト企画で、自民党の真の狙いは、参院選後の憲法改正を問う国民投票に向けたなりふりかまわない巨大広告プロジェクトなんではなかろうか」

 という個人的な邪推だ。

「なんか、駅前でティッシュ配ってるカラオケ屋みたいなやり口だな」
「オレはガキの頃おまけのプラスチック製金メダルが欲しくてふりかけを1ダース買ったぞ」
「そういえば、シャッター商店街の空き店舗で電位治療器だとかを売りつけるSF商法の連中は、路上を行く高齢者に卵だのプロセスチーズだのをタダで配っていたりするな」

 さて、自社の雑誌に自民党とのコラボレーションによる広告企画記事を掲載したことについて、「ViVi」を制作・販売している講談社は、以下のようにBuzzFeed Newsへの取材に対してコメントしている。

《このたびの自民党との広告企画につきましては、ViViの読者世代のような若い女性が現代の社会的な関心事について自由な意見を表明する場を提供したいと考えました。政治的な背景や意図はまったくございません。読者の皆様から寄せられておりますご意見は、今後の編集活動に生かしてまいりたいと思います。》

 このコメントには、正直あきれた。