
先週の水曜日(6月5日)の衆議院厚生労働委員会で、立憲民主党・尾辻かな子議員が、女性に職場でハイヒールやパンプスの着用を義務付けることの是非について質問し、根本匠厚生労働相が答弁した。
この時のやりとりが各紙で記事化され、話題となった。
答弁の詳しい内容は、以下のリンク先 に詳しい。
根本大臣は、こう言っている。
「職場において女性にハイヒールやパンプスの着用を指示すること、これについては今、パワハラという観点からのお話でした。当該指示が社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲を超えているかどうか、これがポイントだと思います。そこでパワハラに当たるかどうかということだろうと思います。一方で、たとえば足をケガした労働者に必要もなく着用を強制する場合などはパワハラに該当し得ると考えております。そこは職場でどういう状況の中でなされているのかというところの判断かなと思います」
関連記事を一覧すると、まず共同通信が
【パンプス「業務で必要」と容認 厚労相発言、波紋呼びそう】
という見出しで報道し、以下それぞれ
毎日新聞【根本厚労相「パンプス強制、パワハラに当たる場合も」】
朝日新聞 見出し:「容認」 本文:容認する姿勢
産経新聞 見出し:「業務で必要なら…」 本文:事実上容認
読売新聞 見出し:「パワハラに該当しうる」 本文:「~範囲」にとどまるべき
という論調で伝えている。
上に引用した各社の伝え方については、バズフィード・ジャパンの記事
が詳細に報じている。
原稿の書き方として有力なのは、以上でご紹介した記事を踏まえて
「では、大臣の真意はどこにあったのか」
を明らかにすべくあれこれ臆測を並べることなのだが、今回はその手法は採用しない。
理由は、私の思うに
「大臣は事実上何も言っていない」
からだ。
もう少し噛み砕いた言い方で説明するなら、根本厚労相は、尾辻議員の質問をはぐらかして一般論を述べてみせただけで、いわゆる「#KuToo運動」に対してはコメントを供給すること自体を拒絶している。
大臣が言っているのは、あくまでも
「社会通念に照らして業務上必要と考えられる指示であるのなら、それはパワハラではない」
というあらためて文字にするのも愚かな一般論であって、そこから一歩踏み込んだ
「職場の上司が女性従業員にハイヒール(あるいはパンプス)の着用を求めることがパワハラに当たるのかどうか」
という問いかけに対しては明言を避けている。
であるからして、答弁の言葉を解読して大臣の「真意」を読み取る努力は、不毛であるのみならず有害な仕事になる。
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