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 川崎市の登戸でひどい事件が起こった。
 詳しくはリンク先を見てほしい。私はあまりコメントしたくない。

 登戸は、20代の頃、仕事上で行き来のあった人が住んでいた場所だ。その人はもう亡くなってしまったのだが、いつも自分の生まれ故郷である登戸について
 「ニコタマ(二子玉川)なんかよりずっと素敵な街だ」

 という言い方で自慢していた。

 つい半年ほど前に所用で訪れた時にも、私の生まれ育ったあたりと同じ河川敷に近い街の空気に親近感を抱いた。なので、今回の事件は胸にこたえた。

 宮崎勤による一連の幼女殺害事件が発覚したばかりの頃、保育園に通う女の子を持つ知り合いがとても怒っていたのを記憶している。

 当時独身だった私は、いつもは温厚なその知り合いが、どうしてそこまで強い憤りを表明しているのかを、いぶかっていたのだが、後に、自分が子供を持ち、同じ立場の保育園児の親たちとやりとりするようになって、幼児を養育している親が、あの種の子供を被害者とする事件を決して他人事とは考えないことを学んだ。

 今回の事件でも、幼いお子さんを持つ親御さんたちの反応は、やはりとてもビビッドだ。当然だと思う。

 そんな中、Yahoo!ニュースの「個人」のトピックに
 《川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は控えてほしい》

 という見出しの記事が掲載された。

 ツイッター上で話題になっていたので、早速読みにいった私は、この記事を書いた藤田氏の見解に、おおむね共感を抱いた。「おおむね」というのは、全面的に同意したわけでもないからそう書いているわけなのだが、でもまあ、全体として彼が書いていることはもっともだと思っている。

 記事の内容そのものとは別に、私がより強い興味を惹かれたのは、この記事に対してツイッター上やその他の媒体を通じて論評のコメントを寄せている人々の口調が、並外れて激越なことだった。

 あの記事の主張に賛成できない人がいることは理解できる。藤田氏の見解を「的外れ」だとか「読みが浅い」というふうに評価する見方にも一定の論拠はあると思う。

 ただ、藤田氏が書いたテキストは、内容も文体も至極穏当なものだ。誰かを非難したり攻撃したりしている文章でもない。とすれば、読んでみて共感できなかったにしても、口汚く罵倒したり、「弱者救済」商売というような言い方で中傷したりせねばならないような記事ではないということだ。