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 抽象的で中身のない話だと思うかもしれないが、現段階でこれ以上の詳細を明かすことはできない。

 理由は、憶測を語ったところで誤解を広めるだけだし、結論が出ていない事態についての無用な情報漏えいは、単に混乱を招くだけだと考えるからだ。どうかご理解いただきたい。

 大切なのは、私が現在、宙ぶらりんの状態にあり、診断のつかない段階で、診断の準備のための治療に専念しているということだ。

 体調そのものは、だから、入院中とはいえ、そんなに悪くない。
 というよりも、ここしばらくのあれこれで体重が落ちた分、軽快に動けているかもしれない。

 ただ、検査や採血や採尿のスケジュールはずっと続いているし、点滴やモニタの管やらケーブルやらもカラダにぶら下がったままだ。

 で、有線(ワイヤードな)の端末として最先端医療の恩恵にぶらさがっている状態のオダジマは、体調万全に見えて、事実上は無力だったりする。

 というのも、何をするにも、ケーブルがつながった人間は、古い時代のダイヤル式の黒電話みたいに鈍重で、最終的に個人としての尊厳を欠いているからだ。

 にもかかわらず、そんな不自由な状態で私が原稿を書いているのは、ありていに言えば原稿料が必要だからだ。
 なんだかなまぐさい話をしてしまった。

 治療にはそれなりのカネがかかる。

 その一方で、病気で休んでしまうと、いきなり収入が途絶する。

 フリーランスの泣き所というヤツだ。

 もっとも、書き手の側が原稿料を欲しているからというだけの理由でコラムが掲載されて良い道理はない。

 ウェブマガジンであれ、紙ベースの雑誌であれ、読者の側から見て、読むに値する文章でなければ、そのテキストは掲載されるべきではないし、それ以前に原稿料の対象になるべきではない。

 そうやって考えてみると、ここまでの何十行かは、書き手であるオダジマの個人的な近況を報告したのみで、情報としての有用性に乏しい。個人的な知り合いなら、あるいは注目して読むかもしれないが、逆に知り合いであれば、上に箇条書きにしたような奥歯に医療用手袋がはさまったみたいなテキストには満足しないだろう。