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 塚田一郎国土交通副大臣の発言が物議を醸している

 ……というこの一行目を読んで

「また政権批判かよ」
「いちゃもんをつけることしかできないのかなあ」
「この自称コラムニストはいったい自分をナニサマだと考えているんだ?」
 と思った皆さんのために、原稿のテーマをあらかじめご説明しておく。

 私の意図は、塚田国交副大臣が政権がらみの利益誘導案件に関与したことをあげつらって、それを攻撃するところにはない。

 塚田氏が、党の集会で
「総理と副総理を忖度した」
 旨を放言したことを問題視して大騒ぎすることが本テキストの目的であるわけでもない。

 また、その塚田氏が、党集会での上記の発言を論難されて
「大勢が集まる会だったので、我を忘れて誤った発言をした」
 という、世にも愚かな弁明を並べ立てた事実をとらえて、彼の政治家としての資質にダメ出しをしたいと考えているわけでもない。

 いや、本心をお伝えするなら、すべて、そう思っている。

 国交副大臣という容易ならざる立場に置かれた政治家が、公の場で、総理ならびに副総理の名前を出した上で、自分がその彼らの選挙区への利益誘導のために骨を折った旨を、悪びれもせずにえへらえへらと述べ立てた態度は、万死に値する軽佻さであると評価している。

 本当に利益誘導に加担したのだとすれば、国政を担う政治家として完全にアウトだし、そうではなくて、実際のところは地元への利益に貢献していないにもかかわらず、手柄顔で成果をアピールしていたのだとすれば、それはそれで、卑怯千万な振る舞い方ということになろう。

 あるいは、最終段階で彼が並べ立てたあの不可思議な弁明が実は真相で、塚田氏が、大勢の人間の前に出ると、身も世もなく動揺したあげくに、我を忘れて心にもないデタラメを思わず知らず口外してしまうタイプの愉快な粗忽者なのだとしたら、それはそれで、国会議員として、明らかに資質を欠いている。

 ただ、塚田氏が、蒙昧で薄っぺらで卑劣陋劣下品下劣な上に一人前のオトナとしての通り一遍の弁明すら満足に提供できない極めつきの能無しであるのだとしても、問題はそこではない。そんなことは誰もが知る事実でしかない。

 私は、塚田副大臣の行状や人格や来歴や資質を主題に原稿を書こうとしているのではない。

 私が今回読者の皆さんにお伝えしたいと考えているのは、

「どうして21世紀の日本人は、こんなにも言い争いを忌避しているのだろうか」
 という問題についての私なりの解答だ。