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 大学の入学試験もおおむねカタがついたようで、都心のオフィス街の周辺には、例によって微妙な真空状態が訪れている。

 この時期は、毎年そうなのだが、知り合いへの連絡にちょっと気を使わねばならない。
 というのも、相手が身内に受験生をかかえている場合、結果を尋ねたものなのかどうか考え込んでしまうからだ。

 真正面から問い質すのも無作法な気がするし、かといって、まるで気づいていないふりをするのもそれはそれで白々しい。
 相手から話題を切り出してくれれば一番良いのだが、それ以前に、先方は、こちらが連絡をしたことを尋問であるというふうに受け止めているかもしれない。
 だとしたら、こんな時期にあえて電話をかけたこと自体が、ぶしつけな振る舞いであった可能性もある。

 てなわけで、その種の微妙な案件をかかえた相手には、よほど差し迫った用件がない限り、連絡を避けることになる。

 で、月日がたつ。

 例年だと、大型連休が明けた頃になってようやく結果が判明する。
 そして、おお、それはなによりだったじゃないか、と、結果がどうであれ、そういう感じのどっちつかずのやりとりをすることになる。

 実にもって、社会生活というのは度し難いものだ。

 今回は、時事問題には触れない。
 連載の原点に返って、言葉の問題を取り上げてみることにする。

 つい昨日、ツイッターのタイムラインで、ある新聞記事がちょっと話題になった。
 元記事を読みに行ってみると、なるほど、不用意な言葉が使われている。

 今回は、軽く炎上した新聞記事の中で使われていた、粗雑な用語について書くことにする。

 件の記事は、3月6日付の毎日新聞に掲載された、トランプ大統領関連の解説文だ。
 「狭まるトランプ包囲網 議会の疑惑追及本格化」という見出しで書かれた記事本文には、米下院司法委員会で、トランプ大統領による司法妨害、汚職、職権乱用の疑惑を調査する動きが本格化したことに加えて、いわゆるロシア疑惑をめぐる調査対象が広がりつつあることが書かれている。あわせて、先月、下院の監視・政府改革委員会が、トランプ大統領の顧問弁護士だったコーエン被告の公聴会を実施したことなども紹介されている。

 なお、図版要素として「トランプ政権 疑惑追及の構図」と題した写真と解説図も付け加えられており、全体として、充実した解説記事になっている。

 この記事の奇妙なところは、末尾を

《ただ、1院を支配しながら政策の代案を示さずに政権追及に終始すれば、世論の批判の矛先が民主党に向かう可能性もある。
 トランプ氏は民主党の動きについて「大統領ハラスメントだ」とツイート。不満を募らせている。》
 という文で締めくくっている点だ。

 この部分が、いかにも「取って付けた」ようで浮いているということでもある。