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 とすれば「選択と集中」は、言ってみれば、「当たる馬券だけを買う」と言ってるのとそんなに変わらない未来予測が必ず当たる前提で持ち出されている資金の振り分けの話であるわけで、だとすれば、そんな乱暴な方針は、倒産を目前とした企業のやぶれかぶれのコストカットの手法としてしか使えないはずなのだ。

 その「選択と集中」なるバブル崩壊後の日本経済が生み出した強迫観念が、国策に適用されている事例が、沖縄の基地移転と北海道の領土切り捨てだと、いささか乱暴だが、私はそう考えている。

 

 実際北海道では、インフラの維持さえ難しくなってきている。

 鉄道は廃線続きだし、電力も道路ももはやギリギリのところで我慢するほかにどうしようもない。

 こんな時に、領土が戻ってきたからといって、いったい誰がそんな寒い島のインフラを整え、誰が住み、誰が産業を起こし、誰が政治を実行するというのだ?

 ってな調子で、地元の人々はともかく、中央の政府の人間は、もはやたいして返還を望んでいない。私にはそういうふうに見える。

 で、バブル崩壊後の左前企業と同じように、「選択と集中」を掲げながら、その実首切りと部門切り離しと、事業縮小に舵を切る。

 ありそうな展開だ。
ともあれ、領土問題は一朝一夕に解決できるものではない。

 それはよくわかっている。

 ただ、われわれがこれから直面せねばならない現実が、本来一朝一夕には解決できるはずのない問題を一朝一夕にしようとした人間がもたらした事態である可能性については、そろそろ考慮しはじめてかなければならない。

 

 どうにも解決のめどが立たないケースでは、オホーツクのタラバガニとジャンケンをして決めるという最後の手段が考えられる。

 その場合、政府の代表としてカニとジャンケンをする選手として誰を派遣するのかが問題になるわけだが、個人的な見解を述べるなら、安倍さんと河野さんはやめた方が良いのではないかと思っている。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

 なぜ、オレだけが抜け出せたのか?
 30 代でアル中となり、医者に「50で人格崩壊、60で死にますよ」
 と宣告された著者が、酒をやめて20年以上が経った今、語る真実。
 なぜ人は、何かに依存するのか? 

上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白

<< 目次>>
告白
一日目 アル中に理由なし
二日目 オレはアル中じゃない
三日目 そして金と人が去った
四日目 酒と創作
五日目 「五〇で人格崩壊、六〇で死ぬ」
六日目 飲まない生活
七日目 アル中予備軍たちへ
八日目 アルコール依存症に代わる新たな脅威
告白を終えて

 日本随一のコラムニストが自らの体験を初告白し、
 現代の新たな依存「コミュニケーション依存症」に警鐘を鳴らす!

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