問題は、この法律がEVの普及促進を狙いとするものであるにもかかわらず、実際にはむしろEVの普及を遅らせる可能性が高いことである。米国の自動車業界団体「Alliance for Automotive Innovation」のCEO(最高経営責任者)であるJohn Bozzella氏は「残念ながら、税額控除の要件により、ほとんどの車両が直ちに奨励金の対象外となる。これは重要な時期に機会を逸し、新車購入のユーザーを失望させる変更である。2030年までにEVを40~50%販売するという我々の目標も危うくなるだろう」というコメントを発表している。

参考記事: https://www.autosinnovate.org/posts/press-release/auto-innovators-statement-on-inflation-reduction-act

 米エネルギー省(DOE)の代替燃料データセンターは、今回の法律の成立を受けて、米国内で生産されているEVやPHEVのリストを公表した。そのリストは以下のとおりだ。

2022年
モデル
ドイツAudi(アウディ)「Q5」
ドイツBMW「330e」、「X5」
米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)「Chevrolet Bolt EUV」(現在は販売台数上限に達しているため税額控除の対象外)、「Chevrolet Bolt EV」(同)、「GMC Hummer Pickup」(同)、「GMC Hummer SUV」(同)
欧州Stellantis(ステランティス)「Chrysler Pacifica PHEV」、「Jeep Grand Cherokee PHEV」、「Jeep Wrangler PHEV」
米Ford Motor(フォード)「Ford Escape PHEV」、「Ford F Series」、「Ford Mustang MACH E」、「Ford Transit Van」、「Lincoln Aviator PHEV」、「Lincoln Corsair Plug-in」
米Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)「Air」
日産自動車「リーフ」
米Rivian Automotive(リヴィアン・オートモーティブ)「EDV」、「R1S」、「R1T」
米Tesla(テスラ)「Model 3」(同)、「Model S」、「Model X」、「Model Y」
スウェーデンVolvo(ボルボ)「S60」
2023年
モデル
BMW「330e」
GM「Bolt EV」(同)、「Cadillac Lyriq」
ドイツMercedes-Benz「EQS SUV」
日産「リーフ」
米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)が2022年5月に発売した新型EV「Cadillac Lyriq」は高級車であるにもかかわらず、販売価格は6万3000ドルからで、インフレ抑制法に基づく税額控除の対象になりそうだ
米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)が2022年5月に発売した新型EV「Cadillac Lyriq」は高級車であるにもかかわらず、販売価格は6万3000ドルからで、インフレ抑制法に基づく税額控除の対象になりそうだ
(写真:GM)
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 しかし、このリストに含まれている車種がすべてインフレ抑制法における税額控除の対象になるとは限らない点に注意が必要だ。例えば、米Tesla(テスラ)の「Model S」や「Model X」は、価格が8万ドルを超えており、このリストには入っているが、税額控除の対象にはならない。

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