2022年7月21日、中国で電気自動車(EV)最大手の比亜迪(BYD)が、日本の乗用車市場に進出すると発表した。中国では、EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を新エネルギー車(NEV)と呼ぶが、BYDはこのNEVを2022年上半期(1〜6月)で前年同期比3倍超となる約64万台を販売し、米Tesla(テスラ)を抜いてNEV販売台数世界一になったという。BYDは乗用車メーカーとして日本では無名に近いが、2015年から国内でEVバスやEVフォークリフトを販売し、国内ではEVバスのシェアで約7割を占めている。

BYDは2023年から3車種のEVを順次売り出す
BYDは2023年から3車種のEVを順次売り出す
(写真:BYDジャパン)
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 筆者がBYDと最初に出会ったのは2004年の北京モーターショーである。そのときにはまだ、2003年に倒産した規模の小さい国営自動車メーカーを買収して自動車事業に参入したばかりで、出展品は国営自動車時代に開発が進んでいた旧態依然としたクルマだった。しかし2年後の2006年に再び北京モーターショーを訪れた筆者が見たのは、トヨタ自動車の9代目「カローラ」を忠実にコピーした「F3」というモデルだった。このF3は2005年に発売されて好調な売れ行きを示し、BYDの自動車事業のけん引役となった。そして筆者が2006年の北京モーターショーでもう1つ驚かされたのが、BYDがこのF3をEV化した「F3e」と呼ぶモデルを出展していたことである。BYDは自動車事業への進出当初から、EVへの進出を狙っていたのである。

BYDが2006年の北京モーターショーに出展したEV「F3e」
BYDが2006年の北京モーターショーに出展したEV「F3e」
(写真:筆者が撮影)
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