例えば近い価格帯のプジョー「e-2008」と比較してみる。ベースグレードの「Allure」にオプションでナビゲーションとETCを追加した場合の価格は約480万円とモデル3のRWDを超えるにもかかわらず、航続距離は360kmとモデル3を大幅に下回る。
またモーターの最高出力も100kWで、アクセルを踏み込んだときの加速フィールはモデル3よりはだいぶおとなしい。つまり買い得感でモデル3に太刀打ちできていない。
実はモデル3の価格はちょうど1年前の21年2月に、RWD仕様のモデルで429万円に引き下げられた。そこから何回かの値上げを経て今の価格になっている。つまり、1年前より50万円値上げしても、これだけの価格競争力を保っているということなのだ。
21年2月以降に日本に入ってきているモデル3は中国・上海工場製で、造り込みの品質は大幅に向上している。中国だから安いというわけでもない。モデル3は世界のどの地域でもほぼ同価格で売られており、そのコスト競争力は驚異的だ。21年決算で通年の営業利益率12.1%という業界一の水準を実現したテスラだが、その強みを実感した今回の試乗だった。
軽快な走りが好印象のe-2008
テスラが相手では分が悪いe-2008だったが、単独のEVとしてみれば非常に好感の持てるモデルだ。
全長は4694mmとぎりぎり5ナンバーサイズに収まっているものの、全幅が1849mmもあるモデル3に対して、e-2008は全長4305×全幅1770mmとだいぶコンパクトで取り回ししやすい。
それでいて、Bセグメント車であるにもかかわらず、ベースとなった208と比べると後席の足回りスペースが拡大され、大人2人が快適に過ごせるスペースが用意されている。モデル3は、膝周りスペースは十分だが、前席下への足入れ性はいまひとつだ。それに若干の「体育座り」を強いられる。これらを考慮すると、後席での過ごしやすさはe-2008のほうが上だと思う。
絶対的な動力性能ではモデル3にかなわないものの、通常走行では走りの印象は軽快で、しかも乗り心地と操縦安定性のバランスもBセグメント車としてはトップレベルだ。
同じプラットフォーム・パワートレーンを共有する「DS3 CROSSBACK E-TENSE」にも今回試乗できたが、こちらも乗り味としてはe-2008に近いものの価格は100万円程度上回る。その分、白を基調としたおしゃれな内装が手に入るわけだが、お買い得感は低い。
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