いささか旧聞になってしまうが、2022年2月初めに開催されたJAIA(日本自動車輸入組合)輸入車試乗会に参加してきた。神奈川県・大磯ロングビーチで毎年開催されるのが慣例となっているのだが、21年はコロナウイルスの感染拡大で中止となり、今年は2年ぶりの開催となる。多くの輸入車に一気に試乗できるあまりない機会だ。最近の世の中の流れにもれず、今回輸入事業者各社が持ち込んだ車両は、電動化した車両が多かったのが特徴だ。

個性が一頭地抜くテスラ

 試乗会は1台あたり15分程度、1日に15台ほど試乗するというめまぐるしいスケジュールである。1台1台をじっくり味わうというわけにはいかない。

 その代わり、前に試乗したクルマの印象が新鮮なうちに次のクルマに乗り換えられて、それぞれのクルマの個性が浮き彫りになるというメリットがある。今回は、試乗した中でも特に電動車の中で印象的だったモデルについて紹介していこう。

今回試乗した中で、個性が抜きんでていた米Tesla(テスラ)「モデル3」(筆者撮影)
今回試乗した中で、個性が抜きんでていた米Tesla(テスラ)「モデル3」(筆者撮影)
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 1日中せわしなく乗り比べした中でも個性で一頭地抜いていると感じたのが、米Tesla(テスラ)の「モデル3」だった。

 エンジンスタートのボタンやパーキングブレーキを解除するボタンがなく、ウインカーレバーのようなシフトレバーを押し下げるだけですぐに走り出せる操作性や、ほとんど物理ボタンのないインストルメントパネルなど、これまでのクルマの“お作法”をことごとく打ち破る。

 UX(ユーザー・エクスペリエンス)を“再発明”しようというその姿勢は既存の完成車メーカーにも影響を及ぼしつつある。最近の多くの新型車が、物理ボタンをディスプレーに置き換えているのはその例だろう。

モデル3のインストルメントパネル。物理ボタンはほとんどない(筆者撮影)
モデル3のインストルメントパネル。物理ボタンはほとんどない(筆者撮影)
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 しかも、高いボディー剛性や疲れにくいシート、高い静粛性、そして操縦安定性と乗り心地の両立など、クルマとしての基本性能も高い水準にある。クルマ造りの素人だからと侮れない実力を備えている。

 そして何より、モデル3の競争力の高さを感じたのがその価格である。今回試乗したRWD(後輪駆動)仕様の価格は479万円でありながら、航続距離はWLTCモードで565kmと長い。

 モーター出力は非公表だが、0-100km/hまでの加速が6.1秒、最高車速は225km/hと、スポーツカー並みの俊足でもある〔上級グレードのロングレンジ(564万円)では4輪駆動になり、航続距離は689km、0-100km/hの加速は4.4秒、最高車速は233km/hに高まる〕。

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