前回の掲載からすっかり間が空いてしまったことをまずはおわび申し上げたい。新型コロナウイルス禍に翻弄され、目の前のことをバタバタと片付けているうちに、いつの間にか今年も暮れようとしている。いつもの年にも増して、時の流れの速さに驚いている。

 さて、今回は独アウディの最新電気自動車(EV)である「e-tron GT」を取り上げる。独ポルシェの高級スポーツEVセダン「タイカン」とプラットフォームを共有する独フォルクスワーゲングループのEVの中でも最も高性能なクルマだ。このところ、トヨタ自動車を筆頭にして国内の完成車メーカーも相次いでEV戦略を打ち出している。ではEV化の先に何があるのか。クルマとしての楽しさは残るのか。逆にいまのクルマにはないどんな魅力が実現できるのか。EVの現在の到達点をe-tron GTで体感してみようというのが今回の狙いである。

アウディの高級EVスポーツセダン「e-tron GT quattro」(写真:筆者撮影)
アウディの高級EVスポーツセダン「e-tron GT quattro」(写真:筆者撮影)

2033年にはほぼ純粋なEVブランドに

 試乗する前に、アウディのEV戦略を概観しよう。現在アウディの市販EVには、高性能EV向けプラットフォーム「J1」を使ったe-tron GT、エンジン車にも使われているプラットフォーム「MLB evo」をベースとしたSUV(多目的スポーツ車)のEV「e-tron」、フォルクスワーゲングループの中で最も汎用的に使われているEV専用プラットフォーム「MEB」を使った「Q4 e-tron」がある。そして将来は、次世代のプレミアム車向けEV専用プラットフォーム「PPE」に移行する計画だ。

現在のアウディのEVラインアップと使用プラットフォーム。e-tron GTはポルシェ「タイカン」とJ1 パフォーマンスプラットフォームを共有する(出所:アウディ)
現在のアウディのEVラインアップと使用プラットフォーム。e-tron GTはポルシェ「タイカン」とJ1 パフォーマンスプラットフォームを共有する(出所:アウディ)
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 J1プラットフォームは、ポルシェの高級セダン「パナメーラ」に使われているプラットフォームをベースとしたもので、EV専用プラットフォームというわけではない。そういう意味で現在はアウディにおいてもEVへの移行期といえるだろう。アウディは、新開発エンジンを搭載したモデルを発売するのは2025年が最後になるとしており、2026年から発売する新モデルからすべてEV化する方針だ。そして2033年には中国市場を除いてエンジン車の生産をやめるという。

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