LiDARは4つが1つに

 ところが、冒頭で触れたように驚きはこれで終わらなかった。20年7月にシステムの概要が発表されたとき、Advanced Drive搭載車には車体の前後左右に合計4台のLiDAR(Light Detection and Ranging、レーザーレーダー)が搭載されることになっていた。ところが21年4月8日に正式に発表された「Advanced Drive」のシステム構成を見ると、LiDARはフロントの1台だけで、左右および後方のLiDARは搭載されなかったのだ。これが冒頭で挙げた「意外な展開」だ。

2020年7月の発表では、LiDARを前後左右に4台搭載することになっていた(上)が、今回の発表ではLiDARは前方の1台に絞られた(下)(資料:トヨタ自動車)
2020年7月の発表では、LiDARを前後左右に4台搭載することになっていた(上)が、今回の発表ではLiDARは前方の1台に絞られた(下)(資料:トヨタ自動車)
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 たった9カ月前の発表で存在していたものがなくなるというのはかなり異例のことである。今回正式に発表されたLexus LSのAdvanced Drive搭載車、および燃料電池車「MIRAI」のAdvanced Drive搭載車を見ると、フロントフェンダーの前輪後ろのところに「黒いフタ」が付いている。また、リアバンパー下部中央にも、同様に黒いフタが取り付けられている。ここは本来、LiDARを取り付ける予定だった場所だ。本来不要なフタが商品にまで取り付けられているところを見ると、開発のかなり最終段階まで車体側面のLiDARは「有り」で進んでいたのではないか……当初はそう疑った。

 残念ながら、トヨタの発表でも、その後に開催されたデンソーの発表(Advanced Driveの要素技術のうちデンソーが担当した部分の説明会)でも、LiDARの数が減った理由や経緯について明確な説明はなかった。ところが、トヨタ自動車のレクサスのwebページを見ていたら3度目の「びっくり」があった。「フロントフェンダーおよびリヤバンパーのLiDAR装着スペースは、将来的にLiDARを装着することを目的とした意匠になっています」(資料)という記述があったのだ。つまり、今回搭載を見送ったLiDARは将来「後付け」される可能性があるということなのだ。これはいったいどういうことなのか。

Advanced Driveを搭載する「MIRAI」にはフロントフェンダーとリアバンパー中央に、将来LiDARを装着することを想定している部分がある(写真:トヨタ自動車)
Advanced Driveを搭載する「MIRAI」にはフロントフェンダーとリアバンパー中央に、将来LiDARを装着することを想定している部分がある(写真:トヨタ自動車)
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