こんなことがあるのか。トヨタ自動車が4月8日に発表した新世代の運転支援システム「Toyota Teammate/Lexus Teammate」の「Advanced Drive」を見て、まず抱いた感想である。そもそもこのシステムについては、2020年7月にその概要が発表されたときから驚かされていた。そして今回の正式発表では、さらに意外な展開が待っていた。順を追って説明しよう。

新世代の運転支援システム「Toyota Teammate/Lexus Teammate」の「Advanced Drive」を搭載した「Lexus LS」(左)と燃料電池車の「MIRAI」(右)(写真:トヨタ自動車)

レベル2のシステムに

 まず20年7月の発表時に感じた「驚き」から紹介しよう。Advanced Driveは、20年7月に、トヨタ自動車が部分改良版「Lexus LS」の概要を発表した際に、その内容が公開された。筆者はそれまで、トヨタの新世代運転支援システムは、ホンダの「Honda Sensing Elite」(「ついにホンダが『自動運転レベル3』を実現した意味」参照)と同様に、自動運転「レベル3」で実用化されると考えていた。その根拠は、日本の交通社会の国家戦略を示すロードマップとして14年6月から策定されてきた「官民 ITS 構想・ロードマップ」である。

 このロードマップには、20年に自動運転レベル3の実用化を目指すことが明記されており、それを実現するための政策として、14年度から戦略的イノベーション創造プログラム(SIP、Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)の「自動走行システム」、18年度からはSIP 第2期の「自動運転(システムとサービスの拡張)」の下で官民連携による研究開発・法整備などが進められてきた。そして、このSIPのプログラムディレクターは一貫してトヨタ自動車のエンジニアが務めてきた。つまり、日本の国家戦略に基づく自動運転技術の開発は、トヨタがリードして進めてきたといっても、それほど言い過ぎではないだろう。

 トヨタは15年に「人とクルマが仲間のように共に走る」という自動運転技術のコンセプト「Mobility Teammate Concept」を発表した。そしてこの考えに基づいて開発した自動運転技術を20年に実用化することをかねて表明してきた。だから、トヨタが20年に実用化する自動運転技術は、当然のことながら20年の自動運転レベル3の実用化という国家戦略目標に基づくものだと信じて疑わなかったのだ。

 ところが、20年7月に概要が発表されたAdvanced Driveの機能を見ると、これまでのトヨタの先進運転支援システム「Toyota Safety Sense(TSS)」に比べて大幅に進化しているとはいえ、自動運転のレベルとしては「レベル2」にとどまることが発表された。「20年に自動運転レベル3を実用化する」という国家目標を実現する重責は、ホンダに任されることになったのだ。筆者が驚かされたのはそのことだった。

続きを読む 2/3 LiDARは4つが1つに

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1247文字 / 全文4739文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「クルマのうんテク」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。