2020年1月に掲載したコラム「2020年は『自動運転とEV』がジャンプする年」でも紹介したホンダの「レベル3」の自動運転技術が、3月4日に正式に発表された。最高級車「レジェンド」に搭載された「Honda SENSING Elite」がそれだ。レベル3の自動運転技術が実用化されるのは世界で初めてになる。このときのコラムの内容とも多少重複するが、その意味について、今回は考えていきたいと思う。

世界で初めて自動運転「レベル3」を実現した「Honda SENSING Elite」を搭載するホンダ「レジェンド」(写真:ホンダ)
世界で初めて自動運転「レベル3」を実現した「Honda SENSING Elite」を搭載するホンダ「レジェンド」(写真:ホンダ)

高速道路の渋滞中なら“スマホ運転”が可能に

 今回レジェンドに搭載された自動運転レベル3の機能は「トラフィックジャムパイロット」と名付けられている。高速道路で走行中、渋滞に遭遇すると、一定の条件下でシステムが周辺を監視しながら、ドライバーに代わってアクセル、ブレーキ、ステアリングを操作する。システムは先行車の速度変化に合わせて車間距離を保ちながら同一車線内を走行、停車、再発進する。そして最大の特徴は、このトラフィックジャムパイロットの動作中に、ドライバーがナビ画面でテレビやDVDを視聴したり、目的地の検索などのナビ操作をしたりすることが許される点だ。

 ホンダはニュースリリースなどで明言していないし推奨もしていないが、このコラムの「【番外編】改正道路交通法の“ナゾ” スマホ運転は◯か×か」でお伝えしているように、道路交通法は2020年4月の改正で、自動運転システムを作動させているとき、すぐに運転を代われる態勢でいる場合に限って、ナビの画面だけでなく、スマートフォンの画面を注視していてもいい、ということになった。道路交通法の内容を素直に解釈すれば、今回のトラフィックジャムパイロットの動作中、スマホを見ながら運転しても法律違反にはならない。

 これまで実用化されてきた「レベル2」の技術では、システムが動作している状態でもスマホを見ながらの運転は許されていなかった。それが今回はどうして可能になったのか。まず現在広く実用化されている「レベル2」の技術は、自動ブレーキ、車線維持支援、ステアリング操作の自動化など、複数の機能を組み合わせて、クルマの運転操作を自動化している段階を指す。

 ただしレベル2では、運転の操作は機械に任せていても、依然として運転の主体は人間であり、安全運転の責任も人間にある。このため人間は、常にシステムの動作状況を監視する必要がある。なのでレベル2の段階は自動運転と言わず「運転支援システム」と呼ぶことが最近は多くなっている。このレベル2に対してレベル3の自動運転が最も違うのは、ある限定された条件下でシステムの監視義務が不要になることだ。これはクルマの「運転主体」が人間からシステムに移ることを意味する。つまりレベル2とレベル3の最大の違いは「人間が監視する必要があるかないか」であり、操作がどの程度自動化されているかは関係ない。

レベル3以上では運転の主体が「システム」になるのがレベル2までとの最大の違い(資料:ホンダ)
レベル3以上では運転の主体が「システム」になるのがレベル2までとの最大の違い(資料:ホンダ)
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 運転している主体がクルマなのだから、人間はナビ画面を見たり、スマホの画面を見たりしていてもいいという理屈だ。ただし、限定された条件から外れたり、システムが機能限界に達したりした場合には、システムは人間に運転を移譲する。人間はシステムから要求されたらいつでも運転を代われるようにしていなければならない。もしコーヒーを飲んだりしていたら、すぐに運転を代わるのは難しいだろう。ナビ画面やスマホ画面の注視は、すぐに運転を代われる動作とみなされているのだ。

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