新開発プラットフォームは開発コストが上乗せされるので、どうしてもコスト高は避けられない。この点、先代からプラットフォームを流用したフィットは有利だし、新世代プラットフォームの「GA-B」プラットフォームを採用したヤリスがフィットよりやや高めの価格設定になっているのも、理由は同じだと思う。しかも先ほど説明したように、現在のところノートは国内専用車であるのに対して、フィットやヤリスは世界戦略車として海外でも販売される。見込める総販売台数が少ない分、割高になってしまうという日産の台所事情が今回のノートの価格設定に透けて見える。

大幅に向上した車体剛性

 もちろん当の日産は、そんな事情は百も承知で新型ノートのコンセプトを構築している。だからこそ、パワートレーンもe-POWERだけに絞り、低価格帯はあえて捨てて、品質・性能で勝負に出たという感じだ。実際、ガソリンモデルを出そうとすれば、価格帯は160万~170万円になるのだろうが、この価格帯は軽自動車の「DAYZ」の上級モデルと重複する。DAYZも軽自動車としてはかなり出来のいいモデルで、室内の質感や乗り味は、筆者の私見ではあるが先代のノートを凌駕(りょうが)する。ターボ仕様を選べば動力性能もひけを取らず、4人乗りであることを除けば室内スペースも負けていない。日産は、価格重視の顧客にはマーチを薦めるというが、事情があって軽を選べないというユーザー以外はDAYZを選んだほうが、マーチを選ぶより満足感は高いだろう。

 話をノートに戻すと、以前から改良されたのが、第2世代となったe-POWERだ。発電専用のエンジンは先代と同じ排気量1.2L・直列3気筒の「HR12DE」だが、最高出力を58kWから60kWに高めた。これに組み合わせるモーターやインバーターは新開発で、モーターの最高出力は先代の80kWから85kWに、最大トルクは254N・mから280N・mに向上したほか、インバーターは容積を40%、質量を33%それぞれ低減してシステムの小型化を図っている。このコラムの「日産『キックス』は“遊び心”より実用性重視」で取り上げた「キックス」の駆動モーターが95kW・260N・mなのと比べると、最高出力では新型ノートのほうが低いが、最大トルクでは上回ることが分かる。

新型ノートは第2世代の「e-POWER」を採用した。エンジン、モーターの出力を高めたほか、インバーターを大幅に小型・軽量化した(資料:日産自動車)
新型ノートは第2世代の「e-POWER」を採用した。エンジン、モーターの出力を高めたほか、インバーターを大幅に小型・軽量化した(資料:日産自動車)
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 先に触れたように全面的に刷新したプラットフォームは、世界初の1.5GPa級冷間ハイテン(高張力鋼)材を採用するなど、超ハイテン材の採用を先代よりも24%増やすことで、重量増を避けつつ従来より車体剛性を30%高めている。同時に、ステアリングの取り付け剛性や、サスペンションの剛性も高めることで、後で紹介するように、先代とは見違えるようなしっかりとした乗り味・静粛性を実現している。

新世代プラットフォーム「CMF-B」を採用することで車体剛性や静粛性を高めた(資料:日産自動車)
新世代プラットフォーム「CMF-B」を採用することで車体剛性や静粛性を高めた(資料:日産自動車)
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