しかし従来のシステムでは、運転者がステアリングに手を添えているかどうかを確認するのに、ステアリングのトルクセンサーを使っていた点に難があった。トルクセンサーは、本来は運転者がステアリングを操作する力を検知して、モーターで操作力を補助するためのものである。このセンサーを逆に活用し、ステアリングを自動的に動かすときに抵抗があるかどうかで、手が触れているかどうかを判定しているのだ。

 しかしこの方式だと、まっすぐな道を走行しているときにはステアリングを操作する力があまり発生しないので、手が触れていることで生じる抵抗を検知できず、「ステアリングに手を添えてください」という警告が出てしまう。こういう事態はけっこうひんぱんに発生するので、煩わしく感じていた。この点、静電容量式センサーは、手が触れているかどうかを直接検知するので、この煩わしさがなく快適だ。3D高精度地図を内蔵しているからか、クルマがステアリングを操作する際の修正も少ないように感じた。

 車線変更時のステアリング操作支援機能も試してみたが、変更可能な状況では動作にもたつきもなく、安心して操作を任せられる。1回わざと、隣にクルマが並んで走っている状態で動作させてみたが、車線変更することなく、動作がキャンセルされた。

ハンズオフよりありがたい自動再発進

 目玉機能であるハンズオフ機能を試すのには、高速道路で渋滞がタイミングよく発生してくれる必要があったのだが、運良く(?)渋滞に遭遇したのでさっそく動作させてみた。ハンズオフ機能を動作させるには、メーター内表示のステアリングの色がグリーンからブルーに変わらなければならないのだが、なかなか色がグリーンからブルーにならない。おかしいなあと思っていたら、渋滞がトンネル内で発生していることに気がついた。アイサイトXは、先に説明したように自車位置を準天頂衛星の高精度GPS信号を活用して検知しているので、これができないトンネル内では動作しないようだ。

ハンズオフ機能はメーター内のステアリングの表示がブルーになると動作させることが可能だ(写真:スバル)
ハンズオフ機能はメーター内のステアリングの表示がブルーになると動作させることが可能だ(写真:スバル)

 しばらく待って、ようやくトンネルの外に出たのだが、すぐにはグリーンからブルーにならない。GPS信号をつかまえるのに時間が必要なのだろう。トンネルを出てから5〜6分経過して、ようやくグリーンの表示がブルーになったので手を離してみた。当然のことながら手を離してもそれまでと変わらず前のクルマの動きに合わせて自動的に発進、停止を繰り返す。ただ、ドライバーモニタリングシステムで運転者の顔の向きを検知しているので、よそ見していると警告されてしまう。

 ただし、ここで筆者がありがた味を感じたのは、ステアリングから手を離せることよりも、いったん停止しても、前のクルマが発進すると、自動的に動き出してくれることだった。従来のアイサイトは、クルマが3秒以上停車すると、次に発進するときにはスイッチ操作をするかアクセルを少しだけ踏み込む必要があった。それがアイサイトXでは高速道路上であれば停止してから10分以内なら自動的に再発進するようになった。かなりひどい渋滞でも10分間クルマがまったく動かないということはまずないので、事実上、高速道路の渋滞中は、運転者は何もしなくても済むようになったわけだ。

 このように、燃費がやや期待外れだったこと以外、新型レヴォーグの出来はほぼ死角がないと言っていい。COTY受賞も納得の仕上がりだと思うし、この開発で得た成果は今後のスバル車全体の水準を引き上げていくことになるだろう。ただ、個人的に一つだけ疑問だったのはフロントフードに設けられたエアダクトだ。もちろん、インタークーラーに冷気を取り込むという機能はあるのだが、高性能をこれ見よがしに誇示しているようで、ちょっと前時代的に感じてしまう。冷却の問題があるのかもしれないが、ここはエアインテークのないすっきりしたデザインとしたほうが、あらゆる部分が洗練された新しいレヴォーグのキャラに似合っていると思った。

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