ホンダが11月19日に全面改良して発売した新型「N-ONE」を見て驚いた。2012年に登場した初代から数えて8年目の、初の全面改良ということになるのだが、既に新型のプロトタイプは2020年1月に開催された東京オートサロン2020に「N-ONEカフェレーサーコンセプト」として出展されていた。その段階から、ずいぶんキープコンセプトのデザインのモデルチェンジだな、と思っていたのだが、事実は想像を上回っていた。

新型「N-ONE」の外観。鋼製外板やガラス部分は先代N-ONEと共通だ。これは「RS」ではなく、ベース仕様の「Original」(写真:筆者撮影)
新型「N-ONE」の外観。鋼製外板やガラス部分は先代N-ONEと共通だ。これは「RS」ではなく、ベース仕様の「Original」(写真:筆者撮影)

 あまりもったいぶっても何だから結論を言ってしまうと、驚いたことに新型N-ONEは、鋼製外板のほぼすべてが先代からの流用だという。つまり、先代とデザインが似ているどころの話ではなく、ヘッドランプやテールランプ、それにバンパー形状を除けば、先代とまったく同じデザインを採用していることになる。こんな全面改良は、筆者の記憶にない。

 確かに、日産自動車の現行型「リーフ」はドアの基本部分やガラス類を先代から流用しているし、ダイハツ工業の2代目「ムーヴ」は初代からドアパネルを流用していた。だから、全面改良で外観部品を流用することは、よくあることではないけれど、皆無ではない。むしろ多いのは、中身はほとんど同じなのに、外観だけを変えることだ。プラットフォームやエンジンの刷新は開発コスト、設備投資がかさむから頻繁にはできない。だから見た目だけでも新味を出して売り上げを伸ばしたい、というのが完成車メーカーの偽らざる事情だ。

 そうした中にあって、プラットフォームやエンジン、変速機、足回りといった主要なメカニズムはすべて刷新しながら、外観については流用した新型N-ONEの全面改良は、異例という言葉では足りないくらい異例なことだろう。

N-ONEの価値とは

 確かに、外観のイメージを変えない全面改良というのも自動車業界ではよく行われている。例えばドイツBMWの「MINI」は、全面改良してもオリジナルMINIのイメージを色濃く残すようにしているし、ドイツ・フォルクスワーゲンのかつての「ニュービートル」も素人目には分かりにくいほどよく似たデザインに全面改良した。さらにいえば、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)が2020年3月に発表した新型「フィアット500」も、EV(電気自動車)に生まれ変わったにもかかわらず外観デザインはほぼ踏襲している。しかし、これらはいずれも、似たようなデザインを踏襲しながらも、外板パネルなどは全面的に変更している。繰り返しになるが、すべての鋼製外板を流用した全面改良は筆者の記憶にない。

新型N-ONEもかつての「N360」をイメージしたデザインだ(写真:筆者撮影)
新型N-ONEもかつての「N360」をイメージしたデザインだ(写真:筆者撮影)
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