いよいよ10月30日に、ホンダ初の量産EV(電気自動車)「Honda e」が発売される。このコラムの「VWとホンダのEVはどうしてこんなに違うのか」で紹介したように、筆者がHonda eの実車を初めて見たのは2019年9月に開催されたフランクフルトモーターショーだった。このショーでは、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)もEV専用プラットフォーム「MEB」を採用した同社初のEV専用車「ID.3」を公開したので、両社のEVの考え方の違いに目を見張った。

そのときの記事とやや重複してしまうのだが、何が違うのかというと、両車とも近い価格帯であるにもかかわらず、VWはID.3の電池におカネをかけ、ベースモデルでも電池容量45kWh、航続距離330km(欧州WLTPモード)と発表されているのに対して、Honda eの電池容量は35.5kWhで、航続距離も220km(同、日本のWLTCモードでは283km)と短い。
一方で、ID.3の内装は非常にシンプルで、インストルメントパネルのソフトパッドも面積が限られるなど、コストをかけない仕上げになっている。これに対してHonda eはインストルメントパネル中央に2つの12.3型液晶パネルを並べた大型ディスプレーを配置し、さらにその両脇には、「電子ドアミラー」の映像を表示する。フロントドアハンドルは、普段は車体に埋め込まれており、キーの解錠と同時に飛び出すポップアップ式を採用している。さらにいえば、ドアには窓枠がないサッシュレスドアを採用しているのも特徴だ。つまり、装備には非常にコストをかけた設計になっているのだ。


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