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 このコラムの名称である「うんテク」は、「うんちく」と「テクノロジー」をかけ合わせて筆者が勝手に作った造語で、「テクノロジーに関するうんちく」くらいの意味合いのつもりなのだが、このところあまり、その名称にふさわしい内容をお届けしていないような気がする。そこで今回は久しぶりにゴリゴリのテクノロジーのうんちくをお届けする。テーマは「FPGA」だ。日経ビジネス電子版の読者なら、今後知っておいて損のない言葉だと思う。

 FPGAは後で説明するように半導体の一種なのだが、なぜ取り上げることにしたかというと、11月末に発売されるスバルの新型「レヴォーグ」から搭載が始まるスバルの新世代「アイサイト」にFPGAが採用されたからだ。読者の皆さんは新型レヴォーグにも興味津々だろうけれど、こちらは公道試乗が可能になってから改めて取り上げさせていただくとして、今回は新世代アイサイトに話題を絞りたい。

新世代「アイサイト」を搭載したスバルの新型「レヴォーグ」(写真:スバル)

アイサイトのユニークなところ

 読者の皆さんもご存じのように、スバルのアイサイトの最大の特徴は、ステレオカメラだけで自動ブレーキや先行車追従、車線維持支援といった、いわゆるADAS(先進ドライバー支援システム)の機能を実現していることだ。他社のシステムは、同様の機能を単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせで実現している場合が多い。ADASの機能を実現するには、物体の形状を認識、物体との距離を認識、およびその物体が何なのかを認識、という3種類の認識をしなければならない。単眼カメラからの画像では、物体の形状や、その物体が何なのかということは分かるが、物体との距離は分からない。そこでミリ波レーダーを併用するわけだ。

 これに対してステレオカメラでは、人間の目と同様に、左右のカメラの視差を利用して物体との距離を測定する。視差とは左右のカメラで写した画像のズレのことで、これが大きいほどその物体が近いと判断できる。この方式の弱点は、遠くの物体ほど視差が小さくなるため、距離測定の誤差が大きくなることだ。左右のカメラの距離が大きいほど、またカメラの画素数が多いほど精度は高まるが、そうするとステレオカメラが大きくなり、高コストにもなってしまう。性能、寸法、コストをどうバランスさせるかがエンジニアの腕の見せどころになる。

新世代アイサイトのステレオカメラ(写真:スバル)

 新型レヴォーグに搭載された新世代アイサイトの話題の一つは、アイサイト史上初めて二つのタイプが用意されることだ。従来のアイサイトが第3世代の「アイサイト Ver.3」と呼ばれていたことから、今回はアイサイト Ver.4になるのではないかという観測もあったが、フタを開けてみると現在のところスバルは「新世代アイサイト」としか呼んでいない。そして新世代アイサイトには通常タイプと、上級タイプの「アイサイトX」が用意されるのが従来との大きな違いだ。