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 ピックアップトラック人気が高まり、乗用車的に使う人が多くなってくると、トラックの荷台にFRP(繊維強化プラスチック)製のカバーを付けたタイプが登場し、さらにはトラックのフレームの上にワゴンタイプのボディーをかぶせたタイプが登場した。これが初期のSUVの始まりである。当時の代表的な車種としては、日産の初代「テラノ」がある。これは当時の「ダットサントラック」のフレームに2ドアのワゴンタイプのボディーをかぶせたものだ。

日産自動車の初代「テラノ」。ピックアップトラックのフレームの上に、ワゴンタイプのボディーをかぶせたもの。SUVのはしりの1台となった(写真:日産自動車)

 こうして登場したSUVは、ピックアップトラックの雰囲気をまといながら、普段使いの実用性を向上させたことで、またたく間に人気を博し、クルマの1ジャンルとしてのポジションを確立していった。さらに時代が下り、SUVの人気をさらに不動のものにしたのが、トラックではなく、乗用車のプラットホームをベースにしたSUVの登場である。

 その代表的な1台が、1997年に登場した初代「ハリアー」だ。当時の「カムリ」のプラットホームをベースに、最低地上高の高い車体をかぶせたもので、SUVでありながら、セダンなみの乗り心地や静粛性を実現したことが受け、国内でも、あるいは「レクサスRX」として販売された米国でも非常に好評を得た。

トヨタ自動車の初代「ハリアー」。それまでのSUVにはない洗練されたデザインと、静粛性や乗り心地で高い人気を得た(写真:トヨタ自動車)

 乗用車のプラットホームをベースとしたSUVを、従来のトラックベースのSUVと区別して「クロスオーバーSUV」と呼ぶこともあるのだが、もはやこの「クロスオーバーSUV」のほうが、現在ではSUVの主流になっている。そして、米国ばかりでなく、欧州や日本市場でも、もはやSUVがクルマの主流になっているのだ。Autocar Japanの記事「2019年に世界で最も売れたクルマ20選」を見て驚いたのは、世界の完成車メーカーで売れ筋のクルマは想像を超えてSUVが占めていることだ。

 この記事によれば、トヨタ自動車で世界で一番売れているクルマは「カローラ」だけれども、米フォード・モーターはピックアップトラックの「Fシリーズ」、日産はSUVの「エクストレイル」、ホンダはSUVの「CR-V」、そしてドイツ・フォルクスワーゲンもSUVの「ティグアン」、韓国現代自動車もSUVの「Tucson」なのである。このコラムの「日産車とルノー車の外観は同じになる?」で、2019年に日産で一番売れたクルマはエクストレイルではなく「シルフィー」だと紹介したから、データの出どころによって結果が異なってしまって申し訳ないのだが、筆者は今でもホンダの最量販車種は「シビック」、フォルクスワーゲンは「ゴルフ」だと思っていたので、この結果には大きくイメージを覆された。