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 このところ、トヨタ自動車の新車攻勢がすごい。このコラムでも取り上げた「ヤリス」を2月に発売したのを皮切りに、4月にはそのヤリスのSUV(多目的スポーツ車)版である「ヤリスクロス」を同じく2020年秋に発売することを発表、6月には新型「レクサス IS」を2020年秋に発売することを発表したのに続けて、上級SUVの新型「ハリアー」を発売した。同じ6月にはSUVのPHEV(プラグインハイブリッド車)である「RAV4 PHV」も発売している。しかし、これらの新型車にも増して筆者が注目したのは、7月にタイで発表・発売した新型SUV「カローラ クロス」である。

トヨタ自動車がタイで発表した「カローラ クロス」(写真:トヨタ自動車)

 カローラ クロスには、2つの意味で驚かされた。1つは、ついにSUVに「カローラ」の名称が冠されたこと、そしてもう1つは、同じクラスに2種類のSUVをそろえたことである。これまでトヨタ車では、カローラが属するCセグメントのSUVとして「C-HR」があった。カローラクロスの車体寸法が4460(全長)×1825(全幅)×1620(全高)mmであるのに対して、C-HRは4385×1795×1550(2輪駆動仕様)mmといくぶんコンパクトだが、ホイールベースは同じ2640mmで、同じ「GA-C」プラットホームを共有する。カローラ クロスが日本市場に導入されるかどうかは、まだ定かではないが、少なくとも同じクラスに2車種を投入するほどトヨタがSUV市場に力を入れていることは明らかだ。

トヨタ自動車の「C-HR」

 ちなみに、あまり知られていないのだが、トヨタには同じクラスにもう1台SUVがある。正確には「SUV風」の車種というべきかもしれないが、2020年4月に欧州で発売した「カローラ トレック」である。カローラ トレックは、カローラのワゴンであるツーリングをベースに、車高を20mm上げ、ホイールプロテクターなどを追加したもので、米国の大手自転車メーカーであるトレックとコラボレーションした車種だ。

トヨタ自動車が欧州で販売する「カローラ トレック」

 カローラ クロス以外にも、ヤリスクロスやハリアー、RAV4 PHVなど、トヨタがことしに入って発売、あるいは発表した車種は新型IS(しかも新型ISは正確には全面改良ではなく大幅な部分改良だから新型車とはいえないかもしれない)を除いて、すべてSUVであることが分かる。なぜここに来てトヨタはSUVの大幅な拡充に乗り出しているのか。