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 2020年6月30日、日産自動車は軽自動車を除くと、じつに2年9カ月ぶりの新型車となる小型SUV(多目的スポーツ車)「キックス」を発売した。新型車はBセグメントのSUVで、2019年に国内向けの生産を終えた「ジューク」の後継車となる。

 小型SUVは、このコラムの「売れてるトヨタ『ライズ』のちょっと萎えたところ」で紹介したように、トヨタ自動車の小型SUV「ライズ」が2019年11月の発売以来、2020年3月まで5カ月連続で登録車販売台数1位を獲得するなど、いま最も成長しているセグメントの1つだ。同じBセグメントにはホンダの「ヴェゼル」やマツダの「CX-3」などの競合車種があり、さらにトヨタ自動車もこの秋に新型車「ヤリスクロス」を投入する予定だ。

軽自動車以外では2年9カ月ぶりの新型車となる小型SUV「キックス」

 一方で日産は米国でも、秋に発売する新型SUV「Rogue(ローグ)」を発表した。Rogueは日本では「エクストレイル」として発売される車種であり、後で説明するように、日産の世界販売で2番めに多く売れている主力車種である。キックスや新型Rogueが競合他社に伍(ご)して勝ち抜いていけるかが、日産再建の最初の試金石となる。

米国で発表した新型「Rogue」。国内でも新型「エクストレイル」として発売されるはずだ(写真:日産自動車)

 前回のこのコラムでは日産自動車の再建計画の1つの柱である生産能力の縮小について、現在公開されている計画では足りないことを示してきた。今回はもう1つの柱である「商品ラインアップの削減」について、計画に描かれていない部分を勝手に考えていきたい。

日本、中国、米国に集中

 日産が今回の構造改革で打ち出した商品戦略の考え方は「コアセグメント」「コアマーケット」への集中である。このうち、グループの中で日産が担当するコアマーケットは、後で触れるように「日本」「中国」「北米」である。コアマーケットでない地域で販売している車種は、これから削減の対象になり得るということだ。

 例えばインドなどの新興国を中心に日産が展開する新興国ブランド「DATSUN」について、同社は廃止を検討していると報道されている。前回のコラムで指摘したインドでの生産能力縮小の可能性も含め、例えば日産がインド専用車として展開しているDATSUNブランドの「redi-GO」などの車種は廃止される可能性が高い。

 商品ラインアップの削減のもう1つの軸は「コアセグメント」への集中だ。アライアンス内で日産は「C/Dセグメント」に強く、相対的に「A/Bセグメント」が弱い。そこで日産はアライアンス内でのコアセグメントをC/Dセグメントに定めている。そして、このセグメントの車種については日産がアライアンス内で開発を主導することになっている。